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第80回 尚美学園大学 学長 久保公人氏

2019/04/19

社会のニーズに応えて進化する尚美学園大学
尚美学園大学 学長 久保 公人氏

                                                    

    尚美学園大学(埼玉県川越市)は2020年4月、スポーツマネジメント学部(認可申請中)の新設を予定している。新しい学部ではどのようなことを学び、どのように社会で活躍できるのか――。同大の久保公人学長に、設立の経緯や卒業後の進路についてうかがい、同学部への進学を希望する高校生に向けてメッセージをいただいた。



潜在的ニーズに着目した
スポーツマネジメント学部(認可申請中)
――スポーツマネジメント学部を新設することになった経緯を教えてください。
 尚美学園大学は現在、芸術情報学部音楽表現学科・音楽応用学科・舞台表現学科・情報表現学科、総合政策学部総合政策学科・ライフマネジメント学科の2学部6学科体制を築いています。私が学長に就任した2016年以来、全学科にわたってカリキュラムの見直しを行ってきたのですが、改革を進める中で、せっかくスポーツに関する教育があるにも関わらず、その存在が外部に伝わりにくいという問題点に気がつきました。これまでは、ライフマネジメント学科のスポーツコースとして、実践力を身につける教育を行ってきたのですが、学部名からスポーツに結びつきにくいことによって、せっかくの学びの内容が伝わりづらかったのです。
 今後、本学が向かう方向性を考えた時に、芸術・ビジネスだけでなくスポーツも大切な領域の一つですから、ここも活かしていかなければならないと考えました。そこで、芸術に基づくマネジメント・スポーツマネジメント・ビジネスマネジメントという三本の柱を据えて、尚美学園大学ならではの学部構成で世間にスポーツマネジメントの存在も訴えかけていこうと考えたわけです。
 一般的な体育学部やスポーツ学部というと、スポーツ選手として活躍したり、教員やコーチを目指したりといった「スポーツをする」観点の領域がほとんどなのではないかと思います。
 しかし、2012年に文部科学省が「スポーツ基本計画」で挙げているように、スポーツを「する人、観る人、支える(育てる)人」でスポーツ分野を広げていこうとする動きは近年活性化しています。「生涯スポーツ」という考え方が広まり、一人ひとりにあった運動を生活に取り入れ、生涯を通じてスポーツを楽しんでいこうという流れに変わっている時代の中、教育のベースに芸術がある本学に求められるのは、スポーツ選手を育成するというよりはむしろ、スポーツが好きだという人に、社会人に必要な幅広いノウハウを与えて、広がりゆくスポーツ産業のさまざまな場所で活躍できる卒業生を送り出すことなのではないかと考え、スポーツマネジメント学部を新設することにしました。

――スポーツマネジメント学部の強みをお聞かせください。
 本学には、総合政策学部として培ってきたビジネス関係の科目や学びがあります。さらに、芸術情報学部では非常に幅広いエンターテインメントに携わってきており、映像や音響のノウハウ、イベントの企画立案、イベント開催時の運営スタッフとして活躍できる人材など、スポーツマネジメントに活かせるあらゆる環境が揃っています。
 スポーツ産業の広がりの例を挙げると、施設管理があります。スポーツ施設を建てるだけではなく、その施設で「一日中楽しめる」ように、グッズを売ったりレストランで食事を楽しめるようにしたりすれば、そこには広がりが生まれますよね。
 ほかにも、数年前にフェンシングの太田雄貴選手が監修した競技の解説動画が話題になったこともありました。音や映像を用いてスポーツの魅力を最大限引き出し、分かりやすく伝えるということは、新しい取り組みだと思います。
YouTubeやSNSで動画を見ることが日常に溶け込んでいる現代社会のニーズにもマッチしていますよね。そして同時に、本学の芸術に関する強みを活かせる部分でもあり、潜在的ニーズが非常に高い領域だと言えるのではないでしょうか。
 しかし、いまそういったことができる人材というのは非常に少ないのが現実です。スポーツに詳しい人であっても、それを分かりやすく魅力的に伝えるノウハウを持っている人は圧倒的に少ない。選手自ら魅力を発信しているケースも見受けられますが、もちろん一番は競技に注力していますから、あまり効率的ではないのです。スポーツマネジメント力を身につけた人材を投入していくことで、そのあたりの役割を分担していきたいと考えています。
 2020年に控えている東京オリンピック・パラリンピック競技大会や2022年のアジア競技大会など、スポーツマネジメントの知識を持った人材が必要とされる機会は、今後ますます増えていくでしょう。芸術分野に強みを持っている尚美学園大学でしかできない教育で、有為な人材を数多く輩出していけることと確信しています。

――卒業後の進路はどのようなものを想定されていますか?
 これまでにもあった競技スポーツやウェルネスに関する仕事、教員やスポーツインストラクターへの進路ももちろん考えられます。さらに、スポーツ関連企業への就職やスポーツイベントのディレクター、プロスポーツ選手の代理人としてチームと契約の交渉を行うスポーツエージェント、スポーツメディアのディレクターや雑誌の編集者・記者・ライターなど、あらゆる分野で活躍してもらいたいと思っています。
 最近では、ネットワークを介して複数のプレイヤーがコンピュータゲームで対戦する「e-sports」という競技を耳にする機会も増えていますが、これはアジア競技大会で正式に競技として採用されることが決定しました。この事例も、スポーツそのものの概念が広がっているということですよね。こうした広がりにも対応できる人材を育成していこうと思います。


幅広い興味・関心を持って入学すれば
自分を活かせる分野が見つかる
――久保学長は以前スポーツ業界に関わるお仕事をされていたとうかがいました。これまでの経歴をお聞かせください。
 京都大学を卒業し、公務員として教育関係の機関に就職しました。そこから幸運にもいろいろな仕事に携わらせていただくことができ、いくつかの大学で務めました。その後は文部科学省の高等教育局私学部私学行政課長や東京大学の理事なども経験しました。
 スポーツに関わったのは、そのあと文科省のスポーツ・青少年局長に就任した時で、オリンピックの招致などに関わることができました。そして文科省退職後に、尚美学園大学の学長に就任し、いまに至ります。

――スポーツにまつわる思い出などはありますか?
 中学・高校時代は陸上競技部に所属していて、短距離の選手でした。進学校であまり部活動の時間は長くありませんでしたが、陸上に関する雑誌などを買ってよく読んでいたことを覚えています。
 本学には陸上サークルがありますから、昼食後に練習風景を見ることがいまの楽しみです。

――尚美学園大学全体の魅力を改めてお聞かせください。
 本学は音楽の専門学校としてスタートし、短期大学、四年制大学と転換する中で、舞台や音楽ビジネスといった総合的な芸術と、情報政策といった分野の教育を行ってきました。そして今度はそこにスポーツマネジメントの学びも加わり、幅広い分野で活躍できる学生を育てることが可能となります。
 音楽で言えば、自分で歌ったり演奏したりする以外にも、音響などの裏方で活躍するという選択肢も考えられますよね。ダンス、ミュージカルでも同じことが言えますが、自分が演者にならなくても、好きなことに関わる道を見つけることは可能です。夢を実現する幅広い教育が、本学には備わっています。

――学部の新設によって変化する尚美学園大学の今後のビジョンをお聞かせください。
 本学は伝統的な学問を守っていく大学ではないと私は考えています。スポーツが好き、あるいは音楽が好きな人たちに、その趣味を活かしながら社会で活躍できる方法を授ける大学として、常に社会や企業、地域のニーズにふさわしい授業を展開し続けられるようにありたい。ちょうどこの4月に情報表現学科のリニューアルを行い、来年4月にはスポーツマネジメント学部を設立するというように、時代に合わせてこの先も進化し続けるつもりです。
 芸術・スポーツ・ビジネスのマネジメントを柱として、教職員一丸となって新たなスタートを切っていきます。

――スポーツマネジメント学部への入学を希望する高校生にメッセージをお願いします。
 尚美学園大学は2020年4月、これまでの総合政策学部ライフマネジメント学科から脱皮して新しい学部を創ります。ここでは従前にない、さまざまなスポーツ関連産業に人材を送り出していきたいと考えておりますから、スポーツが好きなみなさんにぜひ入学してもらいたいと思います。
 スポーツが得意でなくても、スポーツを観ることが好き、あるいはもっと多くの人が楽しめるスポーツづくりをしたいという人を歓迎します。もちろん、競技スポーツを思う存分できる環境も整っています。幅広い興味や関心を持って入学していただければ、きっと自分の得意分野を活かせる領域を見つけることができるはずですので、夢と希望にあふれたやる気のある方をお待ちしております。

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