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第7回 公立学校と私立学校の違い

2013/11/13

学歴入門 真実と対応策

第7回 公立学校と私立学校の違い

            橘木 俊詔


■教育は公共財か私的財か
 学校の設立主体を大別すると、公立(国と地方公共団体)と私立の二つになる。公立は国民の納める税金を財源としているが、私立は生徒・学生の納める授業料と私学独自に保有する資産運用が財源である。もとより公立校(高校・大学)で学ぶ人も私立校よりは安いが授業料を払っているし、私立校でも公共部門より私立学校補助金を受領しているので、公立と
私立の区別はゼロ対100といった極端な区別ではない。
 かなり古い時代の教育を調べると、私学が中心であったので、公立校は少なかった。これは欧米、日本ともに共通のことであった。フランス革命時に活躍したコンドルセは、国民に平等の教育を施すには、公立校が相応しいという考え方を主張して、その後欧米では公立校が増加した。現代のヨーロッパの各国では公立校が主流であり、私立校は少ない。一方で私
立校が大きな役割を演じているのは、先進国の中ではアメリカと日本である。
 公立と私立の存在を説明する一つの根拠として、教育への見方に依存することがある。教育を公共財とみなすか、それとも私的財とみなすかの違いである。公共財とは国民の税金などの負担による財であり、国民全員がその利益を享受するのである。道路、橋、軍・警察、外交などを想定すればよい。私的財とは個人が負担してその人だけが利益を享受する財であり、食料、衣服、自動車、家屋などを想定すればよい。
 教育を公共財とみなす見方は、教育によって人の資質が高まるので一国の経済が強くなるメリットがあり、すべての国民の利益となる。医学教育は国民への医療サービスの提供に役立つので公共財とみなせる。だからこそ公立の医学部の授業料は低く抑えられているのである。とはいえ教育を受けることによって個人の稼得能力が高まるので、私的財としての要素
もある。こう述べてくると、教育は公共財、私的財という二つの顔を持つので、準公共財であるとの見方もできる。


■公立と私立の生徒に学力差はあるのか?
 私立校の授業料が公立校よりも高いことはどの国でも成立しているのであるが、私立校で学ぶ人は高い学力を示しているのであろうか。図1 は日本での公立と私立の中学校の学力差を示したものである。確かに私立中学のほうが国語と数学で学力が高く、高い授業料に
よって私立中学で良い教育を行っていると予想できるため見返りは確保されている。しかし私立中学校にはもともと能力の高い生徒が入学している学校が多いため、ここでの公私の学力差は授業料による教育の差だけでは説明できないことに留意しておこう。
 大学ではどうだろうか。図2 が示すように、教員一人あたり在学生数は、私立大が国・公立大よりも6 倍前後も多いのである。高い授業料を払っている私立大学生のほうが、教育サービスの質は国・公立大よりも劣る可能性を一人あたり学生数の差は示している。これは教員比率の高い学校のほうが、教育を効率的に行うことができるということを前提にしている。この教育の質の差が国・公立と私立の間での学力差につながっているかどうかは、大学生の学力を計測した例がないので不明である。中学生のような全国学力検査は大学には存在しないので、検証は困難である。

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