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第10回 学歴社会の行方

2014/03/06

■日本は学歴社会だったのか
 中卒・高卒・大卒といった卒業学校の段階別の視点から、日本が学歴社会だったかどうかを判断すると、就く職業に関しては学歴の高い人ほどホワイトカラーなどの職に就き、一方でブルーカラー・販売職といった職にはそれの低い人が就いていたという意味では学歴社会であったということができる。しかし収入で判断すれば、学歴間で大きな格差はなく、欧米などと比較すればユニークな平等性を保っていた。
 他方、どのような学校(特に最終学校)を卒業したのかという意味で学歴社会を評価すると、名門大学を出た人が役所や企業で優遇されていたのは事実であったので、日本は学歴社会であった。例えば、官庁における東大卒が局長・次官に昇進したことは有名だったし、上場企業の役員・社長になる人にはトップの名門校出身の人が多かったのである。さらに企業における採用に関しても偏差値の高い大学の卒業生が有利であった。


■学歴社会の変化と今後
 企業(特に上場企業)への就職活動に関しては、現在でも偏差値の高い大学が有利であることに間違いはないが、それ以外の資質も問われている。特に入職後の昇進に関しては大きな変化が起きている。それは名門大学の有利さが次第に小さくなり、人事評価においては本人の能力・実績が大きな判断基準になりつつあるため、どこの大学の出身かということがさほど役割を演じなくなってきているためである。なぜそのような変化が起きたかといえば、ひと昔前は企業で重要な仕事、あるいは昇進する部門は、企画・人事・総務といった管理業務であり、こうした仕事は学力の高い人が実力を発揮できたからであった。さらに日本は官僚国家であったため、東大を筆頭に国立大学出身者が幅を利かせていたのである。
 しかし現代は、企業間の競争が国内のみならず国際的にも熾烈になっており、生産や技術、金融、特に営業といった部門で働く人の業績が企業の生死を左右しかねないほどのウエイトを占める時代となった。これらの分野で実績を示す人が役員・社長になるのであり、こうした場面では、いわゆる学校秀才よりも体力ややる気、コミュニケーション能力などが重要となる。さらに官僚の役割も低下するなど、企業の世界では学歴社会は弱まっているのである。
 しかし、学力の高い人が見放されているかといえばそうではない。むしろそれが有利となる職業が目立っている。医師や弁護士・裁判官などの法曹、研究者といった職業などが代表的なものである。大学における入試に関しては医学部がほかのどの学部よりも群を抜いて難しくなっている。新・司法試験の合格者の出身法科大学院を見ると、いわゆる名門校とされる大学が合格者数と合格率で他大学をかなり上回っている。この二つの職は資格が必要であるため、学歴がそれに伴って必要なのである。研究者という職業は昔もいまも学力に強い人の活躍場所であることに変化はない。しかもいまは研究水準の高い大学への人材と資金の集中が著しい。
 医師や法曹、研究者を目指す人にとっては中学・高校時代に勉強に励むことによって学力を高めて、合格の困難な医学部や法科大学院、そして研究水準の高い大学の学部や大学院に進学することが目標となる。これらの職業に就く人にとって学歴社会はまだ生きているし、見方によってはむしろそれが強くなっているのである。
 最後に大学に関する課題を一つ。同年齢の半数以上が大学に進学する大衆化時代となり、教員・学生ともに人数が多くなり、資質の格差が拡大中である。現代では、これにどう対処するかを解決せねばならない時代にあると言えるだろう。

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