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第44号(令和元年10月5日発行)俳優・鈴鹿央士さん

2019/10/15

自分のやりたいことを見つけて、
それに向かって全力で頑張って!

俳優 鈴鹿央士さん



























 小説家・恩田陸氏の代表作として知られ、2017年に史上初の「直木三十五賞」と「本屋大賞」をダブル受賞した「蜜蜂と遠雷」。10月4日からは映画が公開され、大きな注目を集めています。
 同作の風間塵役で俳優デビューを飾った鈴鹿央士さんを訪ね、これまでの人生ストーリーをおうかがいすると共に、高校生のみなさんへ応援メッセージをいただきました。


部活動を頑張っていた中学・高校時代 高校2年次のエキストラ出演が転機
 岡山県で生まれ育ち、幼少期は公園で遊んだり、家でポケットモンスターや遊戯王などをして遊んだりすることが大好きな少年でした。また、小学校では空手と体操を習っており、それぞれ3年間ほど頑張っていました。特に、体操を習っていたおかげで、身体はいまでも柔らかいのが自慢です。
 中学校に入学後はサッカー部に入りました。ポジションは主にミッドフィルダーで、仲間たちと一緒に楽しくサッカーをしていましたね。また、高校に進学後は心機一転バドミントン部に入り、団体戦などの試合に出場したことが良い思い出として残っています。
 人生で転機が訪れたのは高校2年生の時でした。当時、地元で映画の撮影が何度か行われるという情報を知る機会がありました。しかし、予定が合わなかったり、すでに終わっていたりと少しもどかしい思いをしていたのですが、幸運にも通っていた高校でも映画の撮影があるということを聞きつけ、友達と一緒に見に行くことにしました。私の住んでいたエリアに芸能人が来るのはかなり珍しいことでしたので、地元では「芸能人が来るぞ!」と、盛り上がっていましたね。
 映画の撮影では、エキストラとして出演することができ、主演の広瀬すずさんを間近で見ることができました。特に、すれ違った際に軽く会釈をしたことは、いまでも鮮明に覚えています。そして、映画の撮影が終わった後に現場にいた芸能事務所のスタッフさんから声をかけられ、名刺をいただきました。その際に「良かったら1度事務所に来てみませんか?」とスカウトを受けました。とても驚きましたが、その後に事務所の社長と地元で面会する機会をいただき、正式に芸能事務所に入所することになりました。当時は「芸能人って何をするんだろう」「俳優やモデル、舞台などいろいろあるけれど、自分には何が合っているんだろう」と、不安や緊張のほうが大きかったですね。特に、事務所がビルの7階にあったのですが、いつもエレベーターで1階から7階に上がる時はドキドキしていました(笑)。
 後から分かったことなのですが、その時の映画に出演されていた広瀬さんが陰で推薦してくれたようで、それを聞いてとても驚きました。
 まだ芸能界に入ったばかりですが、これからたくさんの経験を積んで、作品の良さを観ている人たちに伝えられるような俳優になることを目指して、頑張っていきたいと思っています。


電子ピアノを借りて家で役の練習 素晴らしい作品をぜひ映画館で!
 10月4日から映画『蜜蜂と遠雷』が公開になりました。国際ピアノコンクールを舞台に世界を目指す若き4人のピアニストたちの挑戦や成長を描いた物語で、私は亡き著名なピアニスト・ホフマンの推薦状によって、ピアノコンクールに参加した風間塵役で出演しています。
 私はピアノを習っていた経験はないのですが、出演が決まってからは家に電子ピアノを借りて、クランクインまでの約3カ月間とクランクイン後の空いてる時間はなるべくピアノにふれ、楽しく弾いている表情を繰り返し練習しました。映画では、プロのピアニストや交響楽団の方々の協力もあり、まるでコンサート会場にいるような大迫力の演奏を聞くことができます。映画館で観ることにとても価値のある映画だと思いますので、読者である高校生の方々はぜひ映画館に足を運んで、手に汗握る本作を鑑賞していただければ幸いです。


進路について真剣に悩んだ高校時代 やりたいことなら、きっと頑張れる!
 いまは仕事をこなす傍ら、大学にも通い、主に英語とフランス語の勉強をしています。大学に入って一番驚いたのは、そのスケールの大きさです。私自身入学してから友人をたくさん作ることができましたし、特にサークルに入っている学生の交流の輪はとても広いなと驚きました。
 高校時代のことを振り返ると、部活動を頑張りながら、どの大学の学部・学科に進学しようかと真剣に悩んでいたことを思い出します。高校生のみなさんは、いま進路を決める時期に差しかかっていると思いますが、一番に伝えたいのは、自分のやりたいことを見つけて、それに向かって全力で頑張って欲しいということ。若い時はやりたいことをトコトンやることが大事で、それが若者であるみなさんの特権だと思っています。もちろん、やりたいことであっても、時には嫌なことや大変なことが待ち受けているかもしれません。しかし、自分が決めたことなら、きっと頑張ることができると思います。まずは自分が将来どのようなことをしたいのかを考えて、それに向かって全力で頑張ってください。応援しています!



すずか・おうじ●2000年1月11日生まれ、岡山県出身。映画『先生!、、、好きになってもいいですか?』のエキストラとして参加したのをきっかけに、女優・広瀬すずにスカウトされ、18年にデビュー。同年の「MEN'S NON-NO」専属モデルオーディションでグランプリを獲得。10月4日公開の『蜜蜂と遠雷』では、100人を超える応募者の中からオーディションで風間塵役に選ばれる。同作が俳優初挑戦であり、今後の活躍が見込まれる期待の新星。




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