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第65号(令和7年1月31日発行)俳優・井上祐貴さん
2025/02/06
興味のあることを調べ、挑戦することで道は拓ける! 高校生活を大切に、後悔のない道を選択しよう
俳優 井上祐貴さん
「第42回ホリプロタレントスカウトキャラバン」で審査員特別賞を受賞したことをきっかけに芸能界入りした井上祐貴さん。2月には映画「僕らは人生で一回だけ魔法が使える」の公開、3月にはNHK創作テレビドラマ大賞「明日、輝く」の放送が控えるなど、いま最も勢いのある若手俳優の一人です。
井上さんを訪ね、これまでの人生ストーリーをおうかがいすると共に、進路選択を控える高校生のみなさんに向けて応援メッセージを送っていただきました。
サッカーとフットサルに熱中 全力で取り組んだ文化祭や体育祭
広島県で生まれ育ちました。活発な性格で、自宅にいるよりも、幼少期は外で友人たちとサッカーや鬼ごっこなどをして過ごすほうが好きでした。
小学校に入学後は、サッカーと水泳と英会話の三つを習い始めました。水泳は5年間、英会話は半年間ほどで辞めてしまいましたが、サッカーはとても楽しくて卒業するまで続けていました。
中学校の部活動は、もちろんサッカー部です。しかし、このサッカー部が地元ではなかなかの強豪で、上手な部員が大勢いました。僕の実力が不足していたため、なかなか出場の機会に恵まれなかったので、思い切ってサッカー部を辞めて地元のフットサルのクラブチームに所属することにしました。高校に進学後も部活動には入らずに引き続きフットサルのクラブチームで活動をしていました。また、学校はクラスでとても仲の良い友人もできて、文化祭や体育祭などの学校行事ともなれば全力で取り組んでいました。
一人暮らしに憧れて大学進学 3年のオーディションが転機
高校時代は進路選択の一環としてオープンキャンパスにも参加しました。大学の施設や設備などももちろん見学しましたが、どちらかというと「この辺りに住んだら大学生活が充実しそうだな」と、立地を一番確認していましたね(笑)。
そうした流れの中で、高校卒業後は関西地方の大学に進学しました。正直、学びたい学問や分野が決まっていたわけではなかったのですが、「広島県を出て一人暮らしをしたい」という憧れもあったため、あえて地元から離れた大学を受験しました。学力試験の入試で受験し、受験勉強も自分なりに精一杯頑張りましたので、合格した時はとても嬉しかったことを覚えています。
大学入学後は学問を学びつつ、フットサルサークルに入ってサークルの仲間とフットサルをしたり、旅行に行ったりしていました。アルバイトはラーメン店で4年間、イタリアンカフェで2年間働くなど、どこにでもいるような普通の大学生のキャンパスライフを過ごしていたように思います。
転機が訪れたのは大学3年生の時です。周りの友人が就職活動を始める中、自分はやりたいことが見つからず、「卒業後はどうしよう……」と焦り始めていました。そんな時に友人から一通のメールが届き、開いてみると「第42回ホリプロタレントスカウトキャラバン」書類審査通過とありました。友人が他薦で応募していたようで、最初は戸惑いましたが、「人生経験の一つとして挑戦してみよう」と思い、1次審査を受けることにしました。
会場に着くと、袴を着ている人やギターを持っている人、ダンスを練習している人たちが目に入りました。僕は普通に私服で行っていたので、ほかの応募者のみなさんのオーディションにかける思いがヒシヒシと伝わってきて、とても肩身が狭かったことをいまでも覚えています。
審査は20秒間の自己PRだったのですが、「僕は知らないことに挑戦することが好きなので、今日はその一環としてうかがいました。場違いで申し訳ありません」と述べてすぐに会場を出ました。「きっと確実に落ちているだろうし、大学卒業後のことを真剣に考えていかないといけないな」と。ところが、すぐに2次審査の案内が届いて、自分でもどうして合格したのかはいまでも不思議ですが、その後の2次審査・3次審査と通過しました。そして最終的には審査員特別賞を受賞することができ、芸能界への道を拓くことができました。
注目を集める映画とドラマに出演 高校生のみなさんにも観て欲しい
2月21日公開の映画「僕らは人生で一回だけ魔法が使える」でハルヒ役を演じさせていただいています。人生の岐路に立つ4人の18歳の高校生にスポットを当てた映画で、20歳までの2年間の間に1回だけ魔法が使えるという設定です。タイトルからはファンタジー映画のような印象を持たれるかと思いますが、4人それぞれが真剣に悩み、ぶつかり合いながら大人へと成長していく心温まる映画になっています。みなさんと同じ高校生の話の作品ですので、興味を持っていただけた方はぜひ劇場で鑑賞していただければ幸いです。
また、3月17日放送のNHK創作テレビドラマ大賞「明日、輝く」では、将来を嘱望されたランナーの主人公・新野亮介役を演じさせていただきました。大学駅伝のゴール直前で転倒させられてランナーをあきらめた亮介が、家出少女の心海との交流を通して、挫折した過去を乗り越えて前へ進もうとするストーリーです。観終わった時に背中を押してもらえるような展開になっていますので、こちらのドラマも観ていただければ嬉しく思います。
夢はいつ見つかるか分からない 進路選択は焦らなくて大丈夫!
進路選択を控える高校生のみなさんに対しては、すでに将来の目標ややりたいことが決まっている人は「その目標を目指して頑張れ!」とエールを送りたいです。
一方、まだやりたいことが決まっていない高校生のみなさんには、私のように大学に進学した後に何かのきっかけで夢や目標が見つかるということもあります。自分にとって少しでも興味のあることを調べたり、挑戦してみたりすれば自ずと道は拓けると思います。貴重な高校生活を大切にしながら後悔しない道を選択してみてください。
いのうえ・ゆうき●平成8(1996)年6 月6 日生まれ、広島県出身。平成29(2017)年に「第42回ホリプロタレントスカウトキャラバン」審査員特別賞受賞、芸能界入り。平成30(18)年にミュージカル「ピーターパン」でデビュー。令和元(19)年には特撮ドラマ「ウルトラマンタイガ」で初主演。令和7(25)年は、1月クール連続ドラマ「地獄の果てまで連れていく」、2 月21日公開映画「僕らは人生で一回だけ魔法が使える」、3 月17 日放送NHK創作テレビドラマ大賞「明日、輝く」主演など、今後の活躍がますます期待される俳優の一人。
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