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第53回 星城大学 水野 豊 学長

2010/06/01

第4代星城大学学長。愛知県立旭丘高等学校、京都大学法学部を経て、昭和48年旧文部省入省。在中国大使館一等書記官、文化庁文化部長、新居浜工業高等専門学校校長を歴任。平成22年4月より現職。

 

 

学生の「自分づくり」を支援する、“学生が主役”の大学

 大学の主役はあくまで学生であるとし、一人ひとりの個性がいきいきと輝くキャンパスづくりに邁進する星城大学(愛知県東海市)。
 平成22年度、新たに学長に就任した水野豊氏に、同大が掲げる〝社会貢献をめざして「自分をつくる」〟のテーマを中心に、次代へ向けた取り組みと大学運営の指針を伺った。

 

挑戦者精神あふれる、

「知の拠点づくり」を目指して

 

―学長ご就任にあたり、抱負をお聞かせください。
 現在の日本を覆う閉塞感は、若者が夢と希望を持って暮らすことのできる地域社会が崩壊していることに起因しているのではないかと思います。そうだとすれば、これからの地域社会を活性化させることのできる元気な若者をいかに育てていくかということが重要で、それが私たち、大学人の使命だと考えています。
 私がまず取り組みたいのは、これまで文部科学省で教育文化政策に携ってきた経験や、前任校である新居浜工業高等専門学校で磨いてきた現場感覚を活かし、若者との接触を楽しみながら、人材育成に傾注するということ。特に本学は、開学9年目の若い大学で、かつ、学生や教職員の顔の見える、程好い規模ですから、私自身のいくばかりかの経験も必ずや活かせる場面があるでしょう。「仕事に待ったなし」の精神で大学運営に当たります。

―新学長に対するステークホルダーの期待には高いものがあります。
 学生が主役の大学をつくっていきたいということが一番にありますが、保護者やご家族の方にとっては、お子さまの人間的成長が実感できる大学、また、卒業生にとっては、誇りと愛着を持てる大学であり続けることを模索していきます。
 他方、卒業生を受け入れていただく企業や医療施設などには、より社会貢献できる人材を輩出していくことで本学に対する認知度を高めていきたい。
 もちろん、それらの前提となるのは、地域社会に根差した「知の拠点」となる大学の構築であり、グローバル化社会のなかでも存在感を発揮できる「開かれた大学づくり」です。
―具体的な構想をお聞かせください。
 喫緊の課題は、教職員が一体となって、学修支援を軸に、キャリア開発、就職指導、学生生活支援を総合的に行う組織である「自分づくりセンター」を軌道に乗せ、十分に機能を発揮させることでしょう。
 そして、「星城大学生の底力を発揮させる取り組み」を推進し、学生が何事もナンバーワン、オンリーワンを目指すことのできるチャレンジ精神にあふれた学園づくりを進めることも忘れません。
 幸か不幸か、本学は、まだ歴史が浅いため、これまで大きな危機や失敗を経験していません。そのことが、社会の変化に敏感な組織への脱皮を妨げていた面があるように感じます。大学を変革させ、創新の気風を横溢させるために、もう一度チャレンジャーの精神を呼び覚ましたい。例えば、スポーツなどの部活動はもちろん、地域のさまざまな団体と連携してのボランティア参画など、活動の場や機会を幅広く創出し、学生の参加を促していきたいと思っています。
 こうした取り組みを通し、存在感のある大学になっていきたいと思います。

―水野学長の教育理念をお教えください。
 好きな言葉のなかに、教員と学生が一体となって学問に携わるという意味の「師弟同行」があります。図らずも、本学の母体である、「学校法人 名古屋石田学園」の創始者、石田鏇徳先生の出発点も、“師弟が寝食を共にするような私塾”であったと聞いております。
 また教育は、工芸の世界で例えれば、用の美を備えた器づくりのようなものです。学生が丈夫で美しい器をつくれるよう、教員と学生が共に学びあうこと、これが私が追求したい教育の姿です。

 

“顔の見える規模”を背景に、
新・「師弟同行」を追求

 

―貴学の従来の特色・特長を今後どのように発展させていきますか。
 企業経営という限られたビジネス分野だけでなく、「医療マネジメント」や「スポーツマネジメント」など、多様なマネジメント領域に特化したコースが設けられている本学の経営学部には、保健体育、公民、情報の教職課程が設置されています。
 この点を踏まえて、今後は、個別コースのコンセプトを一層明確にし、再編成も視野に、さらなる内容の充実を図っていきます。
 一方、東海地区の私立大学で初めて設置されたリハビリテーション学部は開学以来、抜群の国家試験合格率を維持していますから、これを損なうことなく、これからもさらに質の高い医療従事者を養成できるよう、予防医学や介護予防等の新しい学習分野の充実にも努めていく方針です。
 また、すでに200名を数える留学生については、受け入れ体制をもう一段強化し、従来にも増して意欲のある外国人学生を確保していくつもりです。そして、民族や文化の違いを超越した、国際的なキャンパスづくりを推進していきたいと思います。
 それから、忘れてならないのは、開学時からの大きな特色である「e–Univer sity」です。
 現代社会でごく当たり前に必要とされるIT能力を自然と身に付けることができる環境が本学には整っています。今後は、学修サポートシステムとして、より一層効果的な運用を目指し、取り組んでいきたいと考えています。
―貴学なればこその支援体制には、どのようなものがありますか。
 例えば、経営学部では、「文化教養ゼミ」、「総合ことば演習」、「社会探索ゼミ」などの少人数授業を軸に、徹底したきめ細かい個別学生への指導が可能となっています。
 一方、リハビリテーション学部では、学年担任制を採用し、アドバイザーの学生や、年次にとらわれない学生間の交流が、充実した学生生活を支えています。
 また、先ほど触れた「自分づくりセンター」については、今年度新たにセンターフロアーを整備し、学修支援、生活支援、キャリア開発などの機能を強化するとともに、「待ち受け型サポート」から「アクティブサポート」への転換を図り、教職員一丸となって、学生の自己実現を強力に支援していきます。
 これらは、教員も事務職員も学生の顔と名前が一致する規模の大学だからこそ実現できることだと自負しています。

 

星城大学の次の伝統を
自らの手で紡ぐという気概

 

―在学生に望むのはどのようなことでしょうか。
 生涯にわたって「心を耕す方法論」を学んで欲しいと願っています。そのためには、「星城大学の伝統は自分たちで作っていく」のだという気概を持つ必要があるでしょう。
 また、本学が立地する東海市に生誕した、米沢藩中興の祖、上杉鷹山公の師である細井平洲の教えの一つ、「学思行あいまって良となす」の言葉が意味するように、学生には単に学んで終わるのではなく、学んだことについて考え、実践することを忘れないで欲しいと思います。

―今後の展望をお聞かせください。
 設置母体の「学校法人 名古屋石田学園」の建学の精神を継承すると共に発展させ、学生が、将来の自分の仕事を通じて、地域社会を支え、その発展に貢献することのできる社会人力を備えることができるよう導いていきます。
 そのために、教育力の向上を図っていくことは大前提ですが、時代性や地域ニーズの変化を踏まえ、教育研究組織の再編・強化も含めながら、戦略的な視点に立って、将来構想のさらなる検討を進める必要があると考えています。

―貴学が入学を期待する高校生像をお話しください。
 不透明な時代の中で、明確な夢や希望、将来像を十分に描けず、自分らしさを発見するために、大学進学を模索する高校生も少なくないでしょう。誤解して欲しくないのは、ハッキリとした進路イメージがなければダメというわけではないということです。その時点で自身の取り得るベストを選択し、また次の段階で新しい自分を見つけ、作り上げていけばいい。本学は、そんな「自分づくり」に真摯に取り組む学生を全力でサポートしていきます。
 本学で挑戦したいというものが何か一つでもある高校生なら大歓迎です。

―最後にメッセージをお願いします。
 「面倒見のいい大学」、「就職開拓に熱心な大学」、「自分づくりを積極的に支援する大学」―。それが、本学が掲げる3大マニフェストです。これらを実現するため、全学的に取り組んでいくのはもちろん、こうした姿勢をより広く知ってもらうため、従来以上に本学の情報を外部にお届けしたいと思っています。
 その第一段階として、入学を希望する高校生の人間的成長にも資するような、新しい形の高大連携を進めていきます。

 

星城大学ウェブサイト→http://www.seijoh-u.ac.jp

 

 

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