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〔第 76 号〕

2011/05/31

 文部科学省および厚生労働省は5月24日、今春3月の大学新規卒業者の就職状況調査の結果を発表した(4月1日現在暫定値)。就職率は91・1%で、昨年同期よりも0・7㌽減。減少傾向は3年連続し、「就職氷河期」と呼ばれた2000年と並んだ。
 一方、厚労省単独調査による、高校新規卒業者の就職内定状況等も同じ日に発表された(3月末現在)。こちらの内定率は95・2%で、昨年同期と比べ1・3㌽上昇した。
 これら両者の数字だけを比べて、大学と高校の優劣を一面的に論じるわけにはいかないが、不況下に高校の数値が上昇に転じたことは注目に値するだろう。一つには、高校が学校としての就職支援を強化したことが挙げられる。
 ところで、これらの数値の出所については、意外と知られていない。
 厚労省の高卒調査が対象としているのは、高校や公共職業安定所からの職業紹介を希望した、就職志望のすべての生徒だ。その数は15万6千655人に上る。
 それに対して、文科・厚労共同の大卒調査は、就職希望の全学生が対象ではないという点がポイントだ。まず62大学を選び、各校で無作為に抽出した学生からデータを得る仕組みになっている。
 可能な限り客観性を保つため、選ばれる大学は国立21校、公立3校、私立38校と多様で、経年変化を見るため、基本的には毎年同じ学校が対象となっている。また、選定校にいわゆるブランド校が多く含まれれば、実情よりも高めの数字を示すことも考えられる。

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