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第56回 九州産業大学 山本 盤男 第13代学長

2011/07/01

社会からの信頼の厚い、魅力ある大学を目指して
次代に向けて、教育重視の大学改革を推し進めるために

学生一人ひとりをネットワーク型学生支援
 
ーまずは学長ご就任にあたって、抱負をお聞かせください。
 私が学長に就任した昨年は、本学が開学50周年を迎えた記念すべき年でした。大きな節目であり、これまでの教育内容を見直し、より一層大学改革を進めていく原点と位置づけています。
 大学改革は、本学の建学の理想である「産学一如」を軸足とし、産業界の期待に応えることのできる、実践力、熱意あふれる人間性豊かな人材を育成したいと考えています。そのために、今年度から26年度までの「中期事業計画」の設定する成果領域である、教育の充実、研究の充実、学生支援の充実、社会連携・社会貢献の強化、経営基盤の強化の五つの分野で改革を推し進めています。
ー事業計画の中で特に重視している内容はございますか?
 いずれも欠かすことのできない大切なものばかりですが、とりわけ私が積極的に取り組んでいきたいと考えているのは、学生に対する基礎・専門・キャリアの各教育と学生支援という四分野の徹底です。
ー具体的にお聞かせください。
 本学では、入学直後から学生が大学生活にスムーズに移行できるよう、少人数体制の「基礎ゼミナール」や、基礎学力向上を念頭に置いた、全学共通の英語教育プログラムの実施など、さまざまな教育支援体制を整えています。
 残念なのは、こうした支援を行っていても、大学に来なくなってしまう学生は少なからず存在するということです。本学には、2800人近い学生が入学してきますが、誰一人も取り残すことのないよう、これらをフォローする支援体制に力を入れていくつもりです。
ーそれだけの数の学生を一人ひとり指導するのは容易ではありません。
 多くの学生は自主的に行動し、自分自身で大学生活を送っていけますが、だからと言って、入学早々につまずかない学生がいないわけではありません。そうしたケースに備えて、学生支援が行えるよう、すべての入学生の動向を調査しています。
 具体的には、履修登録や健康診断、英語のプレイスメントテストと英語の出席状況などについて調べ上げています。これらから、欠席している学生のデータを集め、その一人ひとりに対して、個別の指導を行うよう、各学部と関係部所に情報提供しています。そして、その指導が終了した段階で、学生がきちんと出席しているかどうかの分析データを戻してもらい、少しずつ欠席者の割合を減らすようにしているのです。現在、指導を受けている学生が30人前後おりますが、自立した学生生活が送れるよう、前学期を通して支援を継続していきます。
ー「入り口」におけるフォロー体制を強化されるということですね。
 その通りです。そして、「出口」のフォローも強化していきます。現在の厳しい就職環境が続く中、就職活動に疲れてしまう学生も少なくありません。そんな学生たちを側面から支えるために、内定を得た4年生がアドバイスを行う「ジュニアアドバイザー制度」や、すでに社会で活躍している本学の卒業生が在学生に指導する「キャリアアドバイザー制度」などを実践しています。今春からは、キャリア教育の専門家を招聘し、専任教員として1年次から指導に当たってもらっています。専任教員の方には、就職支援に限らず、たとえば、入学時における保護者対象の講演など、持ち味を生かしたさまざまな場面で頑張ってもらいます。
ー就職活動に対する学生の意欲も高まりますね。
 08年に立ち上げた「キャリア支援センター」では、就職支援の専門施設を開設し、面接室やマナートレーニングの場など、個別の要望に応じることのできる、専門に特化した設備を整えています。
 しかし、こうした支援体制は学生に利用させて初めて意味を持つようになります。ですから、今後は、「どのようにして学生に利用してもらうか」という仕組みを作っていくのが、我々に与えられた課題となるのでしょう。その一環として、就職先の決まっていない学生に向けて「バックアップガイダンス」を行い、情報提供を行うなど、さまざまな取り組みを通じて、学生への支援を行っていきます。

情報共有による教職協働「教育力」を高める 

ー教職員の能力開発も充実するとか。
 本学は、教員のFaculty Developmentと、事務職員のStaff Developmentの両方を重視しています。FDは委員会形式で進めており、学生による授業評価アンケートを分析し、各教員の評価結果や公開授業などを、組織的に捉えて改善していくことが質の高い教育の提供につながるものと確信しています。また、SDについては、人材開発課を設け、大学内外の研修などを通じて行っています。そして、なにより大事なのは、双方での情報共有です。私が学長に就任した際に、教職員の皆さんに申し上げたのは、「情報の共有と連携」、「現場主義」、「選択と集中」の3点です。それを具体化するために、副学長という役職と学部長会議を作り、意思疎通を図りながら、学部長との連携を取っていきたいと考えています。また、学部長や教務部長などが行っていた部所長会議に事務や学生担当の役職にある職員にも参加を呼びかけ、教員と職員との意思疎通が深まるような体制を整えてきました。
 これまでの組織体制では、問題が発生したときに、関係者を学長室に集めて検討会議を行っていましたが、問題に対して、より早く的確に解決するためには、現場に直接足を運び、担当者から話を聞くことが大切であると判断しました。
 現場の若い教職員が、学生と多く接触する機会を持つことで最も新しいデータを得ることが可能となるのです。
 大学全体の認識を統一することで、私自身が学長としてのリーダーシップを発揮できるよう、大学としての組織力を高めていきたいと考えています。こうした取り組みは、今年の1月から実施しており、まだ十分という状況ではありませんが、継続することで、これまで以上に強固なものへと変えていきたいと考えています。

九州産業大学のブランド力を高めるために

ーブランド力を高める取り組みに傾注されているとうかがいました。
 高校生が進学先を決定する際に、大きな部分を占めるのは進路指導を担当される先生方の助言と保護者、とりわけ母親の存在が大きいのではないかと考えています。そうだとすれば、そういった方々に、「九産大ならば、安心して子どもを送り出すことができる」というイメージを持ってもらうことが何よりも大事で、そのために、さまざまな学内改革を進めています。そうした取り組みの一環として、女子学生が快適に過ごすことのできるキャンパス環境作りを目指しています。パウダールームやカフェテリアといった施設・整備はもちろん、男女ともに切磋琢磨して学ぶことのできる学習環境をより整備していきたいですね。
ー昨年新設の住居・インテリア設計学科も女子の志願者が多いと聞きます。
 九州地域は、女性の進学率が伸びる余地がもう少しありますから、大学も、彼女たちにとって魅力ある内容を提供できなければなりません。住居・インテリア設計学科は一例に過ぎず、現在の8学部20学科にしても、刷新や見直しは早晩必要となるでしょう。これからの社会にマッチした人材を育成するためには、そのような柔軟な思考が欠かせません。10年後に、「九産大は変わった」と良い印象を持ってもらえるよう、改革を進めます。
ー貴学が入学を期待する学生像をお話ください。
 本学の学生の特徴の一つは、素直であるということです。教えたことをしっかり学び、驚くほど早く成長してくれます。社会が求める人材は、素直さに加え、一歩前に出る力が備わっている若者です。積極性であったり、リーダーシップであったり、自らサポートする力であったりと多様な意味合いを持っています。
 高校時代と異なり、これまでと違う自分を発見できるのが、本学の教育の特徴です。高校の先生方には、安心して送り出してほしいと思っています。

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