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「第109・110合併号」

2014/07/15

暑い季節が目前に迫ってきた。受験生のシーズンである。昨年が記録的な猛暑だった一方で、今年は冷夏になるとの見込みらしい。雨が続き、なかなか天候が安定しない。だからというわけでもあるまいが、季節外れの大型台風が日本を襲った▼ブラインドから外の様子を眺めてみると、変わらずに凛と咲く紫陽花の姿が目に入った。いまでこそ梅雨を彩る季節の花の座を勝ち取った紫陽花。だが、江戸時代にはあまり良いイメージでとらえられてはおらず、「幽霊花」と呼ばれて忌み嫌われていたのだと聞く▼日本原産の紫陽花は、中国からヨーロッパに渡った末に品種改良が重ねられ、「七色に変わる」という魅力を身につけて改めて日本へと上陸してきたそうだ。美しいグラデーションを見せてくれるのは、土壌の酸性度や開花してからの日数など、複数の要因による絶妙なコンビネーションの成果なのだという▼紫陽花の例にもれず、当初は見出されなかった魅力が、全く異なる価値観を持つ環境で見つかることもある。来春の就職を目指す就活生の中には、夏採用を前にして焦りを覚える人も少なくないに違いない。しかし、試練は続いても、まだあきらめるような時期ではない。学生の隠れた魅力を見抜く企業と出合えることを切に願う。雨に打たれてこそ美しさを増す紫陽花のように在ってほしいものだ。

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