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第21号(平成26年1月29日発行) マルチタレント 春香クリスティーンさん

2014/07/15

夢に向かってひたすら没頭してみて!

マルチタレント 春香クリスティーンさん

 日本人とスイス人のハーフとして生まれ、来日後はマルチタレントとして幅広い活動を続けている春香クリスティーンさん。
 芸能界の仕事に忙殺されるかたわら、大学ではマスメディアの勉強に取り組むなど、仕事と学問の両立を見事に果たしています。
 スイスから日本へ、そしてキャンパスライフからメディアの世界へ飛び出すことができたのは、自分の「好きなこと」を追求したから―。
 春香クリスティーンさんの進路ストーリーをご紹介します。


日本に強く憧れていた スイスの自宅学習生活時代
 小学生の頃、いじめに遭ったことがきっかけで学校になじむことができず、授業が終わるとすぐに帰宅していました。そのため、友人と遊ぶこともなく、多くの時間を自宅で過ごしていました。ある時、両親を交えた面談の際に小学校の先生から「性格に問題がある」と指摘されてしまったほどです。しかし、両親は「この子は大学進学をしますから大丈夫です」と、宣言をしてくれたんです。そんな両親の気持ちを大切にしたかったので、それ以来自宅で勉強に没頭していました。
 そうした毎日でしたから、勉強の合間に観るテレビが私の唯一の楽しみでした。特に衛星放送で観る日本のテレビ番組が大好きで、バラエティ番組を観ているうちに「協調性があって、仲間との関係性を大切にする日本人のほうが私の性格と合っているのではないか」と考えるようになりました。日本への憧れが次第と強くなっていき、日本語の勉強にも力を入れるようになったんです。
 父が日本人ということもあり、日本語は日常会話程度には習得していました。そして高校生になって「日本の学校に編入したい」、と父に懇願したのですが、猛反対。ドイツ語やTOEIC、外国人向けの日本語の検定、漢字検定など、すべての語学系試験に合格することを条件に許してもらいました。


 日本の高校への編入が実現! 高校生の姿勢に失望の日々
やがて念願が叶い、憧れだった日本での高校生活をスタートさせたのですが、日本の高校生は私が思い描いていた姿とまったく違っていました。
 例えば、編入以前のイメージは「日本の女の子は黒髪で清楚、スイスの生徒のように政治や社会情勢の話を当然する」というものでしたが、実際にはほとんどの高校生が髪の色を染め、スカートの丈は短く、ファッションや恋愛の話ばかり。そんな現実に少し嫌気が差しかけていたのですが「せっかく日本に来たのだから」と、積極的に街に出かけるようにしていました。
 そして、大学を選ぶ際もできるだけ数多くのオープンキャンパスに参加して、その中から本気で学びたいと思ったジャーナリズムを学べる大学に進学を決めました。
 大学進学後、興味本位から国会議事堂に通うようになり、国会の様子も注意深く見るようになったんです。よく若い人から「国会議員は嘘つきで、信用ならない」と聞きますが、選挙で国民によって選ばれた議員の行動は、社会に大きな影響を与えます。入学試験に役立つ情報も多く、きっとみなさんが思い描いているよりも政治はもっと身近でおもしろいものだと思いますよ。


学業と仕事を両立しながら「将来の私」を模索する日々
 タレント活動を始めたのは、ずっと好きだった日本のテレビの世界を「一度は体験してみたい」と思ったのがきっかけです。大学受験とほぼ同時期にオーディションを受けて、いまの芸能事務所への所属が決まりました。
 正直なところ、芸能界の仕事をいつまで続けられるかは分かりません。仕事を優先するために休学を選択したこともあります。だからこそ、一つひとつの仕事を貴重なチャンスだと思って、全力投球で打ち込みたい。そして、いただく仕事は何でも挑戦していきたいんです。その中から自分が伸ばせる分野を見つけて、仕事の幅を広げていきたいと考えています。将来は仕事を通じてスイスと日本の架け橋になれるような存在を目指していきたいですね。


好きなことに没頭すれば将来が見えてくる
 私自身、これまで自分のやりたいことを見極めて、思い切って行動してきました。その結果、いまの自分があるのだと自負しています。
 「何となく」で進路を選んで、進学したとしてもそこで道が拓けるかどうかは自分次第だと思います。ぼーっと過ごしていてはもったいない。ですから、自分が興味のある、やってみたいと思うことには積極的にチャレンジするべきだと思います。私も思い切って芸能事務所のオーディションを受けたことで、人生が大きく変わりましたから。その時は自分が芸能人としてテレビに出演できるとは思ってもいませんでしたが、決してあきらめることだけはしませんでした。うまくいく秘訣は強い意欲を持つことだと思います。「必ず叶えたい」という強い気持ちを持つことが大切なんです。
 高校生のみなさんが自分とベストマッチする学校と出合えるよう、応援しています。夢に向かって、一緒に頑張りましょう。


はるか・クリスティーン 
スイス出身。国際基督教大学高等学校卒業後、上智大学文学部新聞学科に進学。4 カ国語を駆使する明晰な頭脳と異色の経歴で注目を浴びる。ひょうきんなキャラクターを見せる一方、日本の政治に関する知識が深く、国政を解説した本を出版するなど幅広く活躍している。


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