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168号

2019/06/19

 先日、カルガモ親子の引っ越しの様子をテレビで紹介していた▼地域住民が一体となり、必要以上に手伝うわけではないが、生まれて数日のヒナの行く手を阻みそうな障害物を排除したり、通りやすいように穴や溝の上にシートを張ったりと、一行が歩きやすいようにサポートしつつ、転居が無事完了するのを見届ける姿にとても温かい気持ちになった。時には、自然界の厳しい場面に直面することもあるに違いない。どうかすると、命を落としてしまいかねないその儚さが私たちの魂を揺さぶるのだろう▼しかし、傷つかないように、苦労しないようにとすることが必ずしも最善であるとは限らない。必要最低限のサポートは受けつつ、自分たちで生き抜くという姿勢は、動物界に限らず人間界でも大切だ▼6月1日、令和2年3月の大学新規卒業者対象の選考活動が本格的に始動した。ここ数年は「売り手市場」と言われ、それほど気負わず就職活動に取り組む学生が少なくないかもしれない。ただ、忘れないで欲しいのは、入社後は、自分たち自身で道を切り拓いていかなければならないということだ。カルガモたちのように、まずは自分に適した地に自力でたどり着くことを願う。

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