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180号

2020/06/18

 6月に入り、湿度が高く蒸し暑い日が続いている。梅雨入りを待たず、衣替えを行ったという人も少なくないのではないか。この時期の急激な温度・湿度の変化は人間でも不快に感じることが多いが、それは楽器でも同様なようだ▼例えば、ピアノ。ピアノはとても硬い鋼でできた弦を、フェルトを硬く固めたハンマーと呼ばれる部品で叩くことで音が鳴る仕組みだ。木材・皮革・フェルトなどの天然素材を組み合わせた楽器であり、高湿度・結露などの要因によって音を狂わせてしまいやすい。調律師による定期的なメンテナンスが欠かせないのはそのためだ▼社会では、新型コロナウイルス感染症の対策の一環で、コンサートやリサイタルなどが相次いで中止・延期となっている。しかし、そのような逆境にあって世界中のアーティストがリモート演奏動画をウェブ上で公開している。音楽には国境がないことを改めて実感する瞬間だ▼長雨が続くのは悪いことばかりではない。空気中に含まれた小さな埃やちりが雨粒と一緒に流れ落ちるため、雨上がりには空が澄み、音が良く響くように感じられる。新型コロナが収束し、自由に音楽を楽しめる日が訪れることを心待ちにしている。

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