185号
2020/11/13
朝夕がめっきり寒くなる中、味気ないアスファルト道路に街路樹の紅や黄色の枯葉が落ち、束の間の秋を感じさせている。新型コロナウイルス感染症に翻弄されてばかりだと嘆く人も少なくないだろうが、今年は偉大な作曲家であるベートーヴェンの生誕250周年でもある▼1770年12月16日、現在のドイツのボン市に生まれたベートーヴェンは、20代前半からウィーンに移住して活躍するも、耳の病気が次第に悪化。40代半ばになると、ほとんど何も聞こえない状態になったという▼しかし、彼はそうした逆境にあっても、今日の日本でもしばしば演奏される「交響曲第7番」や「交響曲第9番《合唱付き》」など、優れた作品を次々に発表した。交響曲を作曲すること自体、誰にでもできることではないが、難聴に苦しんでなお傑作といわれる作品を世に送り出したベートーヴェンが後世に与えた影響は計り知れない▼大学入学共通テストの実施が目前に迫っている。周囲からの期待などといった精神的プレッシャーもあり、それまでの人生で最大の試練と捉える高校生も少なくないだろう。かつて同じ困難な局面を経験した者として、せめてものエールを送りたい。
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