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第100回 ZEN大学 初代学長 若山 正人氏
2025/08/05
高等教育の機会を提供し教育格差解消を目指す
ZEN大学 初代学長 若山 正人氏
令和7年4月1日、公益財団法人日本財団(本部東京・港区)と株式会社ドワンゴ(本社東京・中央区)の提携により「ZEN大学」が開学した。N高等学校・S高等学校でのオンライン教育のノウハウを持つドワンゴ社と、若者支援における実績を持つ日本財団がそれぞれの強みを活かした教育プログラムを展開する。設立背景や狙い、学びの内容について、初代学長の若山正人氏にお話をうかがった。
オンラインが持つ可能性 新しい学びの機会を創出
──令和7年4月1日、「ZEN大学」が誕生しました。初代学長に就任した現在の心境を教えてください。
数学者としてキャリアを築きながら、数学・数理系の研究人材育成や将来の在り方について考える活動を続けて20年ほどが経ちました。
かつて籍を置いた九州大学では、産業数学の研究拠点「マス・フォア・インダストリ研究所」の設立を主導するなどの産・学・官連携を担当しましたが、その過程で大学の閉塞感や時間的なことも含めて余裕のなさのようなものを感じていました。「何かを変えていかないといけないかもしれない」という意識があったものの、どのようにして変えるかという具体的なところまでは思いつきませんでした。そうした中で、大変光栄なことに学長就任のお話をいただきました。まだZEN大学設置の申請もしていない時期でしたが、〝オンライン授業を中心に卒業単位をインターネット上で修得できる〞というコンセプトには強く共感できるものがありました。
──共感するに至った出来事があったのでしょうか。
東京理科大学に移った時に、「授業を担当したい」と申し出たことがありました。教壇に立つことから離れて所長や理事などをやっていたこともあり、久しぶりに学生の前に立ちたいと思ったんです。気楽にできるのではないかと構えていたのですが、ちょうどそのタイミングで新型コロナウイルス感染症が大流行しました。
オンライン授業の準備や運用に苦労することもありましたが、zoomなどを使って欧米豪等の数学者仲間とコミュニケーションを取ることも進めていたため、地理的・時間的な制約なく人々をつなげることができる〝オンライン〞というツールに可能性を感じたのです。しかし、「オンラインだけで学位を取得できる大学」というと、当時はなかった。確かに、放送大学や通信制の大学はありますが、どちらかというと社会人向けのイメージがあったり、一部の授業でスクーリングが必要だったりしました。また、高校卒業後に「通信制の大学に行く」という選択肢が一般的ではなかった中で、ZEN大学をつくるというのは、現実的には初めての試みになるだろうと感じました。
いま、「AI」という言葉を聞かない日はありません。飛躍的な情報技術革新により、私たちの生活や働き方に大きな変化がもたらされていることから、これから社会が根本的に変わるのではないかと感じていました。
いま、「AI」という言葉を聞かない日はありません。飛躍的な情報技術革新により、私たちの生活や働き方に大きな変化がもたらされていることから、これから社会が根本的に変わるのではないかと感じていました。
そうした中で、大事なのは学生たちに社会で活躍してもらうこと。そのための方法の一つに「大学で何を学ぶか」があるでしょう。オンラインで学べるZEN大学をつくるということは、新しい学びの機会を創出できるのではないかと思いました。そのため、私にとって緊張感のある学長就任でしたし、本学を運営することは重要な任務だと捉えています。システムもより円滑に動くようにしていかなければなりませんし、課題は山積みではありますが、スタッフ・教員、そして学生のみなさんと一緒に大学をつくり上げていきたいと考えています。
1期生の入学者3千人超 手厚い学生サポート体制
──第1期生として三千人を越える入学者が集まったとうかがいました。
本学の設置法人の一つである株式会社ドワンゴ(本社東京・中央区)は、平成28年にインターネットと通信制高校の制度を活用してN高等学校を創立しました。その後、S高校やR高校が開校しました。令和7年3月31日現在、N高グループの生徒数は3万2613人にのぼります。
彼ら・彼女らの多くは、自分で授業や生活スタイルを設計できるアクティブラーナーです。注目すべきは、全日制からの転学・編入ではなく、中学校卒業後に第一志望として入学している生徒がメジャーになりつつあるということ。自由な学び方ができるため、〝通信制高校だから〝と積極的に選ばれるようになってきています。やりたいことや好きなことが明確な人も少なくないのでしょう。
こうした生徒や通信制高校の卒業生、保護者のみなさまから、卒業後の進学先としてオンライン大学を望む声が多く聞かれ、本学の開学につながりました。入学者が集まったということは、実際にニーズがあったことの証左とも言えるでしょう。
また、日本の社会状況が影響しているという見方もできるかもしれません。長年、居住地域や保護者の所得、性別などによって大学進学率に差が生じているという現状がありました。先進国と比較をしても、日本の進学率は高くはない。その理由は、単に勉強をすることに消極的だからというような話ではなく、大学に行くチャンスがなかなかないからではないのか。
そうした中で、場所や時間の制約なく学ぶことができ、学費も安く抑えられるオンライン大学という選択肢を設けることは、日本の大学進学率向上という点で大きな意義があります。地理的・経済的な問題で大学進学をあきらめて欲しくないという私たちの想いが、人々の心に訴えるものがあったからこそ、これだけの入学者数につながったのではないかと捉えています。
──学力試験を課していないと聞きました。
──「知能情報社会学部」について教えてください。
彼ら・彼女らの多くは、自分で授業や生活スタイルを設計できるアクティブラーナーです。注目すべきは、全日制からの転学・編入ではなく、中学校卒業後に第一志望として入学している生徒がメジャーになりつつあるということ。自由な学び方ができるため、〝通信制高校だから〝と積極的に選ばれるようになってきています。やりたいことや好きなことが明確な人も少なくないのでしょう。
こうした生徒や通信制高校の卒業生、保護者のみなさまから、卒業後の進学先としてオンライン大学を望む声が多く聞かれ、本学の開学につながりました。入学者が集まったということは、実際にニーズがあったことの証左とも言えるでしょう。
また、日本の社会状況が影響しているという見方もできるかもしれません。長年、居住地域や保護者の所得、性別などによって大学進学率に差が生じているという現状がありました。先進国と比較をしても、日本の進学率は高くはない。その理由は、単に勉強をすることに消極的だからというような話ではなく、大学に行くチャンスがなかなかないからではないのか。
そうした中で、場所や時間の制約なく学ぶことができ、学費も安く抑えられるオンライン大学という選択肢を設けることは、日本の大学進学率向上という点で大きな意義があります。地理的・経済的な問題で大学進学をあきらめて欲しくないという私たちの想いが、人々の心に訴えるものがあったからこそ、これだけの入学者数につながったのではないかと捉えています。
──学力試験を課していないと聞きました。
本学では、学ぶ意欲のある方々に対して広く高等教育の機会を提供するため、入学選考において学力試験は行いません。その代わりに、ウェブ出願時に入力する「志望理由」「小論文」による入学選考を行っています。
N高で、数学が突出してできるものの、ほかの教科・科目はまったくダメだったという生徒を二人知っています。他にも他校ですが、大学で学ぶ数学はもう終わっていて、論文を読んでいるという生徒もいました。そのため、英語もできるのですが、そういう人たちは、日本の一般的な入試に太刀打ちできないんですね。その生徒は、アメリカの大学を受験し、最終的に学部ではなくPh.D.コースに入学しました。
このような例は、ごく少人数ではありますが、数学以外の分野でも起こり得るでしょう。学力試験を課さないことで、そのような人たちの受け皿にもなる。それもまた、本学の存在意義の一つと言えるかもしれません。
N高で、数学が突出してできるものの、ほかの教科・科目はまったくダメだったという生徒を二人知っています。他にも他校ですが、大学で学ぶ数学はもう終わっていて、論文を読んでいるという生徒もいました。そのため、英語もできるのですが、そういう人たちは、日本の一般的な入試に太刀打ちできないんですね。その生徒は、アメリカの大学を受験し、最終的に学部ではなくPh.D.コースに入学しました。
このような例は、ごく少人数ではありますが、数学以外の分野でも起こり得るでしょう。学力試験を課さないことで、そのような人たちの受け皿にもなる。それもまた、本学の存在意義の一つと言えるかもしれません。
──「知能情報社会学部」について教えてください。
「数理」「情報」「文化・思想」「社会・ネットワーク」「経済・マーケット」「デジタル産業」の6分野を文理横断的に学ぶことができます。ライブ授業123科目、事前収録型のオンデマンド授業156科目、全279科目の中から興味・関心や目標に合わせてオーダーメイドのカリキュラムを作成可能です。
幅広い分野の科目を提供する理由の一つに「広く学んで欲しい」という想いがあります。普段みなさんが生活している中で、数学が出てくることはあまりないかもしれません。しかし、情報技術のベースに何があるかというと、主には数理科学なんです。社会で活用されている技術のベースとなる原理を正確に理解するというところには至らずとも、その存在や、原理を踏まえた上で、技術を進歩させている人がいるという事実を知っておく必要があると思います。
また、広く学んだほうが深く理解できるということもあるでしょう。一つの専門分野を極めていく上でも、複眼的に思考できるほうが物事を柔軟かつ深く考えることができ、他者のアイデアや助言を適切に受け止める能力が育ちます。
分からないことがあったり、壁にぶつかったりすることがあっても、広く学んでいたことで思わぬところからヒントを見つけるということが経験上ありました。本人があらかじめ持っている興味・関心のある分野だけではなく、ほかの分野にもふれる機会が自然に提供されている環境を重視しています。
──学びをどのようにサポートしているのでしょうか。
幅広い分野の科目を提供する理由の一つに「広く学んで欲しい」という想いがあります。普段みなさんが生活している中で、数学が出てくることはあまりないかもしれません。しかし、情報技術のベースに何があるかというと、主には数理科学なんです。社会で活用されている技術のベースとなる原理を正確に理解するというところには至らずとも、その存在や、原理を踏まえた上で、技術を進歩させている人がいるという事実を知っておく必要があると思います。
また、広く学んだほうが深く理解できるということもあるでしょう。一つの専門分野を極めていく上でも、複眼的に思考できるほうが物事を柔軟かつ深く考えることができ、他者のアイデアや助言を適切に受け止める能力が育ちます。
分からないことがあったり、壁にぶつかったりすることがあっても、広く学んでいたことで思わぬところからヒントを見つけるということが経験上ありました。本人があらかじめ持っている興味・関心のある分野だけではなく、ほかの分野にもふれる機会が自然に提供されている環境を重視しています。
──学びをどのようにサポートしているのでしょうか。
私は、自分の生活と学びをデザインできるということが学生のみなさんにとって最も重要なことだと考えています。アクティブラーナーですね。しかし、入学当初から大学での学びを自分自身で設計・実践するのは難しいため、一定のサポートが必要です。本学では、学生支援のために3種類の専任スタッフを配置しています。
担任の役割を担う「クラス・コーチ」は、学生150〜200人に対して一人がつき、授業の視聴ペースが滞った際などに声をかけてオンラインで相談に乗ります。「アカデミック・アドバイザー」は、学生の興味・関心や希望進路に合わせた科目選択や研究面での助言をするほか、個別面談を通してキャリア形成や課外活動についてサポートする「キャリア・アドバイザー」も配置しています。
迷ったり悩んだりすることもあるかもしれませんが、学生のみなさんにはぜひ、スタッフの助言も取り入れて試行錯誤しながら学びをデザインして欲しいのです。
担任の役割を担う「クラス・コーチ」は、学生150〜200人に対して一人がつき、授業の視聴ペースが滞った際などに声をかけてオンラインで相談に乗ります。「アカデミック・アドバイザー」は、学生の興味・関心や希望進路に合わせた科目選択や研究面での助言をするほか、個別面談を通してキャリア形成や課外活動についてサポートする「キャリア・アドバイザー」も配置しています。
迷ったり悩んだりすることもあるかもしれませんが、学生のみなさんにはぜひ、スタッフの助言も取り入れて試行錯誤しながら学びをデザインして欲しいのです。
──産・学・官連携による「地域・企業連携プログラム」をご教授ください。
正課外のプログラムとして、地域・企業でのインターンシップや海外スタディツアー、海外留学プログラムなどを100種類以上用意しています。日本財団の支援により、学生側の費用負担をできる限り安価に設定し、より多くの学生が参加できる体制を整えています。
本学は、卒業要件単位自体はすべてオンライン上で修得可能ですが、対面での活動も重要だと考えています。これからの世の中、リアルよりもオンライン上でコミュニケーションを取る割合のほうが多くなるかもしれません。社内の会議などで採用されていることが少なくないと思いますが、対面のコミュニケーションが完全になくなることはあり得ないと言えるでしょう。
本多光太郎という物理学者の言葉に「産業は学問の道場」があります。産業界で研究活動や成果が活かされることを重視した言葉ですが、課外活動の場は本学における一つの道場かもしれません。
課外活動のプログラムは、単位もないため、卒業には関係ありません。しかし、広く学ぶことで多角的な視点が持てるようになり、「あの時の授業はそういうことだったのか」と捉えられるようになって欲しい。そのためにも、世界中のフィールドで問題解決に挑み、グローバル人材に必要な語学力やコミュニケーション能力を養う多彩なプログラムに積極的に参加していくことを期待しています。
本学は、卒業要件単位自体はすべてオンライン上で修得可能ですが、対面での活動も重要だと考えています。これからの世の中、リアルよりもオンライン上でコミュニケーションを取る割合のほうが多くなるかもしれません。社内の会議などで採用されていることが少なくないと思いますが、対面のコミュニケーションが完全になくなることはあり得ないと言えるでしょう。
本多光太郎という物理学者の言葉に「産業は学問の道場」があります。産業界で研究活動や成果が活かされることを重視した言葉ですが、課外活動の場は本学における一つの道場かもしれません。
課外活動のプログラムは、単位もないため、卒業には関係ありません。しかし、広く学ぶことで多角的な視点が持てるようになり、「あの時の授業はそういうことだったのか」と捉えられるようになって欲しい。そのためにも、世界中のフィールドで問題解決に挑み、グローバル人材に必要な語学力やコミュニケーション能力を養う多彩なプログラムに積極的に参加していくことを期待しています。
生涯学び続ける能力と姿勢 社会で活躍する人材を育成
──今後の展望をお聞かせください。
文系や理系などの特定の学問領域に偏らない、本当に実社会にも通用する新しい学問を究めていくことで、これからの社会で役立つ教育の提供に力を入れていきたいと考えています。
その実現のためにも、ネットとリアルを融合させた学びの環境を整え、学生に機会提供しながら新たな可能性を広げることができるサポートを惜しまない大学であることを目指します。
──ZEN大学で学ぶ学生に何を期待しますか。
その実現のためにも、ネットとリアルを融合させた学びの環境を整え、学生に機会提供しながら新たな可能性を広げることができるサポートを惜しまない大学であることを目指します。
──ZEN大学で学ぶ学生に何を期待しますか。
一生涯学び続ける力を身につけて欲しいと思います。
高度情報化社会となったいま、目まぐるしい変化に適応するためには能動的に学び続ける力が不可欠です。これは、単なるテクノロジーの修得だけではなく、自分自身の思考をアップデートすることも含んでいます。
先ほど、本多光太郎の言葉を引きましたが、まさにあの言葉の通りに、社会は学んだことを実践する道場であり、社会の問題を解決しようと努力する過程で学問が磨かれていくのだと思います。本学の学生には、ぜひそういう気概を持って学び続けて欲しいと思います。
高度情報化社会となったいま、目まぐるしい変化に適応するためには能動的に学び続ける力が不可欠です。これは、単なるテクノロジーの修得だけではなく、自分自身の思考をアップデートすることも含んでいます。
先ほど、本多光太郎の言葉を引きましたが、まさにあの言葉の通りに、社会は学んだことを実践する道場であり、社会の問題を解決しようと努力する過程で学問が磨かれていくのだと思います。本学の学生には、ぜひそういう気概を持って学び続けて欲しいと思います。
──新型コロナ禍やICT化によってオンラインでの学び方が見直され、通信制高校のニーズが高まる一方、ネガティブなイメージや批判の声も少なくありません。これについて、どのようにお考えでしょうか。
かつての〝通信制高校〞に対する見方やイメージを引きずったままの人が少なくないのかもしれません。
大学の価値というのは、「入学してから卒業するまでの間にどれくらい伸びたか」にあると考えていますが、日本の場合、「入学試験でどこの大学に受かって入学したか」に重点を置いている人が少なくないように感じます。
これは高校にも言えることで、そこに縛られているのではないでしょうか。入学が比較的容易であり、通学を伴わない上にオンラインならサボることもできるだろう、という考えをお持ちの方もまだ一定数いる。では、それを覆すには何が必要なのかというと、その学校を卒業した人がどれだけ社会で活躍するかだと思います。
例えば、ZEN大学を卒業した人が、ある企業に就職して、その働きぶりを見た人が「おぉ、大したものだ」と思ってくれる。そういう人たちを本学から毎年輩出していくことで、世間からの見方も少しずつ変わってくるのではないか。学生が主体ですし、まだ1期生が入学したばかりですから、本学で学んだ卒業生の在り方で示していくしかありません。
これは、私の印象ではありますが、本学のような大規模の通信制大学開学を契機に、また、生成AIを利用する中で、今後は法整備も進むはずです。確かに、最先端のIT技術を活用した革新的な教育を打ち出していますが、今後は一つのスタイルとしてごく当たり前になっていくのではないでしょうか。いまはまだ本学に対するまなざしに厳しいものがあり、向かい風が吹いているかもしれませんが、いずれ追い風になることを信じてやみません。
大学の価値というのは、「入学してから卒業するまでの間にどれくらい伸びたか」にあると考えていますが、日本の場合、「入学試験でどこの大学に受かって入学したか」に重点を置いている人が少なくないように感じます。
これは高校にも言えることで、そこに縛られているのではないでしょうか。入学が比較的容易であり、通学を伴わない上にオンラインならサボることもできるだろう、という考えをお持ちの方もまだ一定数いる。では、それを覆すには何が必要なのかというと、その学校を卒業した人がどれだけ社会で活躍するかだと思います。
例えば、ZEN大学を卒業した人が、ある企業に就職して、その働きぶりを見た人が「おぉ、大したものだ」と思ってくれる。そういう人たちを本学から毎年輩出していくことで、世間からの見方も少しずつ変わってくるのではないか。学生が主体ですし、まだ1期生が入学したばかりですから、本学で学んだ卒業生の在り方で示していくしかありません。
これは、私の印象ではありますが、本学のような大規模の通信制大学開学を契機に、また、生成AIを利用する中で、今後は法整備も進むはずです。確かに、最先端のIT技術を活用した革新的な教育を打ち出していますが、今後は一つのスタイルとしてごく当たり前になっていくのではないでしょうか。いまはまだ本学に対するまなざしに厳しいものがあり、向かい風が吹いているかもしれませんが、いずれ追い風になることを信じてやみません。
──高校教員に対する要望があれば教えてください。
いまの進路指導の様子を見聞きしていると、文理選択を早期に行うところが少なくないようです。そのほうが受験に必要な科目をより集中して勉強できるということなのかもしれませんが、それは少し違うのではないかと思うところがあります。
試験の結果から「この科目の成績が良いから、これに向いているかもしれない」といった点のみに焦点をあてることは、生徒を〝型〞のようなものにはめ込んでしまいかねない。将来的に大きく広がっていたかもしれない生徒たちの可能性を狭くしてしまうようなことは、基本的にはないことが良いなと思います。
試験の結果から「この科目の成績が良いから、これに向いているかもしれない」といった点のみに焦点をあてることは、生徒を〝型〞のようなものにはめ込んでしまいかねない。将来的に大きく広がっていたかもしれない生徒たちの可能性を狭くしてしまうようなことは、基本的にはないことが良いなと思います。
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