トップページ > トップインタビュー > 第101回 東京農業大学 学長 江口 文陽氏
前の記事 | 次の記事
第101回 東京農業大学 学長 江口 文陽氏
2025/08/06
東京・神奈川・北海道に3キャンパスを構え、農学・生命科学系の総合大学として知られる東京農業大学(東京都世田谷区)。教育・研究の理念に「実学主義」を掲げ、座学はもちろん、実験や実習、演習などを豊富に取り入れた体験型カリキュラムを構築しているのが特徴だ。昨年末の学長選挙で見事再選を果たし、今年の4月1日から2期目を迎えた江口文陽学長を訪ね、目指しているビジョンや大学の魅力などについてお話をうかがった。
「学生ファースト」の大学へ 新しく10のビジョンを策定
──江口学長は任期満了に伴う昨年末の学長選挙において、見事再選を果たされました。再選時の率直なお気持ちを教えてください。
私は令和3年4月に学長に就任し、今年の4月から2期目を迎えました。1期目の4年間の月日が経過するのはとても早く感じたと同時に、私なりにできる限りのことを尽くしてきたつもりです。そしてこの度、再び学長に選任され、改めて東京農業大学を良くしていきたいと、気持ちを新たにしたところです。大学の主役は学生たちですから、「学生ファースト」の考え方を第一に、教育と研究の両方の充実をさらに図っていきたいと考えています。
一つ目の「総合農学を牽引する教育・研究」に関しては、本学は農業をはじめ、林業、畜産業、水産業など、私たちの生活に関わる農学の分野を山頂から里山、河川、海に至るまで、生態系を含めて総合的に学べる〝総合農学〞を強みとしています。今後はこの総合農学をさらに発展・進化させていくために、第1のビジョンに掲げました。
二つ目の「フィールド科学を重視した実学教育」は、座学はもちろん、フィールドワークや実験、実習をより一層大切にしていきたいという想いを込めました。フィールドワークと聞くと、野山に行ったり農場や牧場に行ったりといったイメージを抱かれるかもしれませんが、本学のキャンパス内には農大サイエンスポートや「食と農」の博物館、総合研究所などの多彩な学びのフィールドを用意していますので、学生たちは大学内の施設・設備も最大限に活用して欲しいと期待しています。
──そのほかのビジョンについてもお聞かせください。
四つ目の「ブランド力発信のための即時戦略」に関しては、ウェブサイトや紙媒体、ラジオ、SNSなどのあらゆる広報ツールを活用して本学の魅力を発信していきます。特に、高校生は先輩大学生のイキイキとした姿が志望校選択のきっかけの一つになることも珍しくはありませんから、従来のような教職員中心のオープンキャンパスから学生スタッフ中心の開催にウエイトを置き、「あの先輩みたいなキャンパスライフを送ってみたい!」と思ってもらえるような取り組みも加速させていきたいと考えています。
そのほか、世界で活躍できるグローバル人材の育成を目指して国際化の推進や、起業家マインドを育むためのアントレプレナーシップ教育、学生への食育の推進やメンタルのサポート、さらには本学職員の文部科学省への出向といった官学交流などもスタートさせています。
──最近は米価格の高騰が大きなニュースになっています。東京農業大学の学長として、このニュースをどのように捉えていますか?
また、作物は天候や気候の影響も受けますので、豊作の年もあれば不作の年もあります。ですから、この1年間で米の価格が上昇しているのは事実ではありますが、私個人としては適正価格で販売されるのがあるべき姿だと考えています。値下げの圧力がかかりすぎて、農家の人々が困ってしまうことがないよう、米価格の動向については今後も注視したいと思います。
また、卒業生にアンケートを取ると、「東京農業大学に進学して良かった」と満足している卒業生の割合が非常に高いことも自慢の一つです。これは学生と教員の距離が近く、特に研究室では学生の取り組みたい研究活動を最大限サポートしていることが要因の一つだと考えています。
そして文化祭である「収穫祭」には毎年大勢の人々が来場し、屋外の模擬店では収穫した野菜や植物が販売されるなど、本学らしい内容となっています。
また、農学系の大学として地球温暖化や気候変動、地震といった自然災害への対応や研究にも力を注ぎ、社会に貢献する大学を目指していきます。
──全国の高校生にメッセージをお願いします。
その中で将来は「農業に関わる仕事に就きたい」「食品メーカーで働きたい」「研究者になりたい」「理科の教員になりたい」など、本学の学びに少しでも関心のある高校生のみなさんは、ぜひ夢と希望を持って本学の門を叩いていただけたら嬉しく思います。
──全国の高校の先生にメッセージをお願いします。
[news]
前の記事 | 次の記事