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第106回 東京農業大学 学長 江口文陽氏

2026/05/13

「総合農学」を推進し、さらなる発展へ
東京農業大学 学長 江口文陽氏




 東京・神奈川・北海道に3キャンパスを構え、農学・生命科学系の総合大学として知られる東京農業大学(東京都世田谷区)。教育理念に「実学主義」を掲げ、座学はもちろん、実験や実習、演習などを豊富に取り入れた体験型カリキュラムを構築しているのが特徴だ。江口文陽学長を訪ね、大学の特徴や魅力、目指しているビジョン、さらには近年特に力を入れている高大連携事業などについてお話をうかがった。






国内外が学びのフィールド大学が目指す10のビジョン
――東京農業大学の特徴を教えてください。
 東京農業大学は、明治時代の政治家・榎本武揚によって明治241891)年に創設された「育英黌農業科」を起源とし、130年以上の歴史と伝統を有する私立大学です。現在は世田谷キャンパス(東京都世田谷区)、厚木キャンパス(神奈川県厚木市)、そして北海道オホーツクキャンパス(北海道網走市)の3キャンパスを擁し、大学全体で6学部23学科を設置している農業系総合大学として発展を遂げています。教育理念には「実学主義」を掲げ、座学の授業だけではなく、実験や実習、フィールドワークも多数実施しているのが特徴です。
 また、沖縄県の宮古島には宮古亜熱帯農場(沖縄県宮古島市)を有しているため、北は北海道から南は沖縄まで、日本全国の農業について学ぶことができます。加えて、本学は世界各国の大学と協定を締結していますので、希望者は海外の大学で最先端の農学と語学を専門的に学ぶことができるのも魅力の一つになっています。

 

――江口学長は2期目の学長就任時に10のビジョンを掲げられています。そのビジョンについて教えてください。
 私が学長就任時に掲げた10のビジョンは、総合農学を牽引する教育・研究(教育・研究組織の強化)フィールド科学を重視した実学教育(フィールドセンターの新設や強化)農ある風景のキャンパスづくり(整備計画とレガシー構築)ブランド力発信のための即時戦略(広報・連携・IR分析による戦略)国際化を推進(各学部・各大学院専攻から特色ある人材を世界に輩出する)アントレプレナーシップ教育による学生のためのイノベーション戦略(起業・就農支援)食育・栄養・メンタル・健康を強化・増進する学生教育・課外活動教育の推進カーボンニュートラルを推進計画(法令・条例の対策と環境保全への貢献)教職・学術情報課程の強化(幅広い教養のある教育者養成と人材の循環)学生・教職員への支援策の強化(奨学金・教育と研究強化資金・スキル強化)になります。

――10
のビジョンの中で江口学長が特に注力しているものはありますか?
 総合農学とは、山の頂上から海洋までのフィールドに展開される農林水産業とその関連分野を包括する総合的な学問のことを指します。農業系総合大学として総合農学を牽引するべく、今後は教育・研究をさらに充実させ、SDGsの達成にもつなげていければと考えています。
 また、の農ある風景のキャンパスづくりに関しては、農学系の大学として自然豊かなキャンパスをつくりたいという想いから、令和61月に「経堂の森」を完成させ、世田谷キャンパスの緩やかに上がる地形を活かして段々畑をつくって里の風景を再現しました。また、北海道オホーツクキャンパスに関しては北海道の大自然をより感じられるように周辺の木を伐採し、キャンパスにいながら網走湖や能取湖、知床連山が見えるよう、農ある風景のキャンパスづくりを推進しています。特に経堂の森の段々畑は現在も整備を継続しており、6月には隣接する東京農業大学稲花小学校(東京都世田谷区)の児童や学園祭である「収穫祭」の実行委員会の学生メンバーなどを招いたイベントも実施予定です。
 加えて、少子化が急速に進行し、18歳人口が減少の一途をたどる中でのブランド力発信のための即時戦略も非常に重要な取り組みの一つだと考えています。そのため、大学のウェブサイトの充実はもちろん、近年はXInstagramFacebookといったSNSを活用して積極的に大学の取り組みを学外へ発信する活動も行っています。


産学・高大連携事業を推進「学生ファースト」の大学へ
――最近の貴学のニューストピックスについて教えてください。
 417日に名鉄観光サービス株式会社(本社・名古屋市)と包括連携協定を締結しました。今回の協定締結によって、「農」と「観光」をかけ合わせた地方創生や、中部圏の高校生に向けた探究学習プログラムの提供、本学学生によるインターンシップへの参加などの取り組みを実施していく予定です。
 また、学校法人東京農業大学としては、東京農業大学のほかに東京農業大学稲花小学校、そして併設の中学校と高等学校を3校ずつ有しています。そのため、稲花小学校の児童がキャンパスを見学しに来たり、併設の中学校・高等学校の生徒が学校での研究成果を東京農業大学のキャンパス内でプレゼンテーションしたりする取り組みも定期的に行われています。
 加えて、学校法人東京農業大学は東京情報大学(千葉市)も運営しています。東京情報大学は総合情報学部を設置し、AIICTの研究は非常に進んでいますから、東京情報大学と東京農業大学の教員によるスマート農業やグリーンイノベーション等をテーマにした共同研究の取り組みも近年は特に行われています。お互いの大学が密に連携を図ることによって、両大学が共に発展することができればと考えています。

 

――貴学では高大連携事業も積極的に行われている印象があります。
 本学では高大連携事業に力を入れており、最近では330日に仁川学院中学・高等学校(兵庫県西宮市)と高大連携協定を締結しました。大学として高校生の進路選択や探究学習のサポートを行うことは重要な使命の一つだと考えていますから、今後も高大連携事業を意欲的に行うと共に、東京農業大学としては一人でも多くの高校生に人々の生活を支える農学の魅力と素晴らしさを知って欲しいと期待しています。


――今後の目標をお聞かせください。
 大学の主役は学生だと思っていますので、「学生ファースト」を合言葉に今後も学生の声にしっかりと耳を傾け、学生が輝くキャンパスづくりを推進していきたいと考えています。そして在学中は充実の教育と研究活動によって学生を大きく成長させ、卒業後は社会の最前線で活躍できる有為な人材を多数輩出していきたいと思います。

 

――全国の高校生に向けてエールをお願いします。
 本学の創設者である榎本武揚は、「冒険は最良の師である」という名言を残しています。この言葉には、未知の世界や困難に勇気を持って立ち向かい、自ら経験を積むことこそが人を最も成長させるという意味が込められています。ですから、高校生のみなさんにはぜひ夢や目標、興味のあることに対して果敢にチャレンジして欲しいとエールを送りたいと思います。その上で、本学の学びに少しでも関心のある高校生のみなさんは、勇気を持って本学の門を叩いていただければ嬉しく思います。

 

――全国の高校の先生方に向けてメッセージをお願いします。
 高校の先生方に対しては、知名度や偏差値だけではなく、各大学の教育や研究の中身もしっかり理解した上で生徒の進路を導いて欲しいということをお伝えしたいと思います。将来の夢や目標は生徒によって異なるはずですから、一人ひとりに寄り添った進路指導によって生徒の希望進路を後押ししていただければ幸いに存じます。

 


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