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第108回 日本工業大学 学長 竹内貞雄氏
2026/07/17
社会の最前線で活躍する理工系人材を育成
日本工業大学 学長 竹内 貞雄氏
基幹工学部、先進工学部、建築学部の3学部を擁し、理工学全般について専門的に学ぶことができる日本工業大学(埼玉県南埼玉郡宮代町)。「実工学の理念」を大切にし、これまでに多数の有為なエンジニアを社会に輩出してきた。竹内貞雄学長を訪ね、大学の特徴や魅力をおうかがいすると共に、充実の施設・設備やキメ細かい就職支援、全国の高校生に向けて伝えたいことなどについてお話をうかがった。
来年度節目の開学60年 座学と実験・実習を両立
――貴学の特徴について教えてください。
日本工業大学は昭和42年に開学しました。明治40年に設立された「東京工科学校」をルーツとしており、長きにわたり日本の科学技術を支える人材の養成に努め、令和9年度に開学60年と学園創立120年を迎えます。
開学時は工学部3学科のみの単科大学でしたが、その後さまざまな改革により発展を遂げ、現在は基幹工学部、先進工学部、建築学部の3学部7学科2コース体制で教育を展開しています。「工業高校生が学べる大学を」という要請を受けて開学したこともあり、開学後しばらくは学生の大半を工業科高校出身者が占め、彼らが技術面において本学の教育研究を支えてきました。近年は逆に普通科高校出身者が大半を占めるようになりましたが、普通科高校出身者にも工業科高校出身者同等の技術を授ける仕組みが備わっており、普通科・工業科分け隔てなく多様な学生が日々学業や研究活動に励んでいます。
――貴学は「実工学の理念」を教育の柱に据えています。
建学の精神に「実工学の理念」を掲げ、実践つまり「本物にふれる」ことを重視してきました。講義を通じて理論を、実験やプログラミング、製図などの実習を通じて実践を、という形で理論と実践を並行して学ぶ「デュアルシステム」をカリキュラムに採用しているのが大きな特徴です。
一般的な大学では、1・2年次に教養科目や専門分野の基礎科目を履修し、本格的な実験や実習、研究活動は3年次からというケースが多いようですが、本学では1年次から積極的に実験・実習、研究活動に取り組むことができます。その結果、技術者としての資質が早期から養われ、例年、就職者のうち90%以上が大学での学びを活かせる技術職に就いています。
――竹内学長は日本工業大学のご出身だとうかがいました。
私は日本工業大学の機械工学科を卒業しており、その後本学大学院の修士課程と博士課程を修了しています。主な研究テーマは、ダイヤモンドの合成や評価、形成技術の開発です。
また、在学時は課外活動にも注力し、スキーやロードバイク、登山なども行っていました。特に北米大陸中西部にある「カナディアン・ロッキー」に単身で渡り、レンタカーを使っての国立公園を巡る山旅は青春時代の思い出として心に残っています。「フレッシャーズセミナー」という新入生対象科目で行われる「学長講話」で、「勉強やアルバイトも大切だが、学生時代に海外へ行き、見識を広げるのはとても良い経験になる」ということを、自分の経験や失敗談を含め、後輩となる新入生に毎年伝えるようにしています。
――「カレッジマイスタープログラム」という特色豊かな取り組みが展開されています。
カレッジマイスタープログラムは、学生が主体的にものづくりの活動を行う工学教育プログラムです。個性豊かな14のプログラムが用意されており、学生フォーミュラ日本大会での上位進出を目指している「フォーミュラ工房」や、NHK学生ロボコンでの優勝を目標に掲げる「ロボット製作プロジェクト」、EV(ElectricVehicle)カートを製作してレースで勝利を目指す「EVカートチャレンジ工房」、ヒューマノイドロボットの開発に挑む「ヒューマノイドロボット研究」などがあります。
ほとんどのプログラムは学科横断型で、自分の専門以外の幅広い分野に挑戦することも可能です。プログラムを修了し、高い技術と知識を身につけた学生には「カレッジマイスター」の称号が与えられ、就職活動でも大いにアピールすることができます。
充実の施設で成長支援 理工系人材を多数輩出
――最新のニュース&トピックスを教えてください。
7月8日、研究施設「スマート農業センター」を開所しました。この施設は、工学と農学を融合し、次世代の農業技術を創出する研究開発拠点です。農業分野では高齢化や担い手不足への対応に加え、生産性の向上と持続可能な農業の実現が求められています。
スマート農業センターでは、AI、ロボット、ドローンなどの先端工学技術を活用し、農作業の省力化や自動化、生産管理の高度化に向けた研究開発を今後より一層進めていきます。
教育的側面では、学生が実際に農業の現場に赴き、生産者と協同して工学的なアプローチで課題解決に取り組むプロセスも重視しています。
――貴学は施設・設備が非常に充実している印象があります。
東京ドーム約6個分の広大な敷地に、充実したさまざまな教育研究施設、学生生活を支える施設を完備しています。
先に挙げた「スマート農業センター」以外にも、「機械実工学教育センター」「先端材料技術研究センター」「建築技術センター」などの最新の設備を備えた研究施設が多数あります。研究室は学生一人ひとりに専用席が与えられるほど広くなっています。
また、学生生活を支える施設の一部としては、4カ所の学生食堂、コンビニ、書店、個人学習スペース、女子学生用パウダールームに加えて、本学は課外活動の参加率も高いため、野球場、陸上競技場、アスレチックジム併設の体育館等の複数のスポーツ施設などが挙げられます。
――就職支援も手厚いとうかがいました。
1年次からキャリア教育をスタートさせています。学生全員に配付している本学オリジナル教材「成長支援ハンドブック」を通じて早期から将来の進路について考えさせ、4年間をかけて着実に社会人基礎力を高めます。
また、就職支援課の職員は全員が国家資格「キャリアコンサルタント」の資格を取得しており、学生一人ひとりに寄り添ったアドバイスを行っています。
卒業後は、本学での専門的な学びを活かしてメーカーや情報通信系企業、建設会社などに技術職として就く者がほとんどです。
――全国の高校生にメッセージをお願いします。
経済産業省が今年の3月に発表した「2040年の就業構造推計(改訂版)について」によると、2040年までに文系人材は約76万人余剰となる一方、理系人材は約124万人不足する可能性があることが示されています。
今後、理工系の学びや人材に対する期待はますます高まっていくことは間違いありませんので、日本工業大学の学びに少しでも興味のある高校生のみなさんは、本学を進学先候補の一つとして検討してもらえたら嬉しく思います。
――全国の高校の先生方に向けてメッセージをお願いします。
本学では「高大連携推進室」を設置し、高校の先生方に理工系大学の魅力を知ってもらえる機会を積極的に用意しています。
大学教員を高校に派遣する「出前授業プログラム」や高校生が本学の研究室で研究活動を体験できる「研究室インターンシップ」といった取り組みも実施しています。生徒のみなさんの進路選択に役立つ内容になっていますので、興味のある先生方におかれましてはお気軽にご相談をいただけましたら幸いです。
