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第107回 嘉悦大学 学長 真田幸光氏
2026/07/17
強みを活かして人の役に立つ人材を輩出
嘉悦大学 学長 真田 幸光氏
社会の発展に資する人材を育成 キーワードは「手づくり」
――学長就任に当たっての心境をお聞かせください。
「社会の役に立つ人材を一人でも多く育成する」というのが唯一の想いです。人の役に立ち、「ありがとう」と言われる人材を輩出することで、社会からの評価も自ずと向上し、大学経営もより良い方向に向かっていくというのが持論です。
しかし、人から「ありがとう」と言ってもらい対価を得るのは容易ではありません。際立った強みがないと難しいものです。だからこそ学生には、自分だけの〝尖った〞部分を磨くために、大学で学んで欲しいと思います。時間はかかるかもしれませんが、「社会の役に立つ大学」だと認知していただけるよう、じっくりと学生を育て上げていきます。
――嘉悦大学の魅力はどこにありますか。
最大の誇りは、学生が純粋であることです。大学進学を果たして満足するのではなく、入学後の学びの目的を明確に持っている学生が相対的に多い印象があります。目を輝かせて学ぶ者が多い本学だからこそ、自分の立ち位置や強みをしっかりと把握した上で「どうすれば世の中の役に立てるのか?」を問うモチベーションを持たせることで、社会の発展に役立つ人材をより多く輩出していけると確信しています。
もう一つは、教職員の想い入れの強さです。職員の中には本学の卒業生も少なくなく、「嘉悦大学をより良くしていきたい!」という熱心なスタッフが多いことを非常に頼もしく感じています。大学に対する想いを教職員一丸となって共有し、学生の教育やキャリア支援に還元されていることが、本学の強みの一つです。
――キャリア支援の仕組みや特色を教えてください。
キャリア支援の一環として導入している「HRC(ヒューマン・リソース・センター)」や「8つのチャレンジプログラム」などは、本学の教職員が「手づくり」で生み出したものです。決まった型に沿って作るというのではなく、時代や企業のニーズに合うプログラムを一つひとつ考え出していることが特長です。
教員自らが企業に出向き、ビジネス界のニーズを常に研究・ヒアリングするほか、私を含め、企業の勉強会に参加する者も少なくありません。そこで見いだした企業の課題をもとに「社会に役立つ人材を育成するには、どのようなプログラムがあると良いか?」を教職員それぞれが考えている点も本学の強みの一つでしょう。
業界や企業の規模によって抱える課題や需要は異なるため、さまざまな企業にアンテナを張りながら、産業界のニーズに応えるプログラムをていねいに作り上げています。
――「就職の嘉悦」として企業から高い評価を受けています。その理由を分析してください。
卒業生の実績が築き上げた結果にほかなりません。本学は創立123年目に突入しましたが、建学以来連綿と受け継いでいるのが、創立者の嘉悦孝が唱えた「怒るな働け」という校訓です。これは、「人様のお役に立ち、とことん頑張り抜く精神」を指しているのだと私自身は理解しています。
本学は、明治36年に設立された「私立女子商業学校」を前身とし、女性が社会で働く上で必要な実践力の育成に力を注いできました。時代の変化と共に、現在は女子教育にとどまらず幅広い教育を展開するようになりましたが、建学の精神を下敷きにした教育を実践している点に変わりはありません。
学生には「世の中の人々に〝ありがとう〞と言ってもらえる仕事をしましょう」と変換して伝えているところです。私自身としても、社会の役に立つ人材を育成することで本学の伝統を守り、創立者の理念を受け継いでさらに繁栄させていきたいと意気込んでいます。
知力・体力・気力を醸成 多様な道を示し可能性を広げる
――貴学で学ぶ学生に何を期待しますか。
目的意識を持って学んで欲しいと思います。学ぶ目的は個人によって異なり、保護者や教員から押しつけられるものではありません。一人ひとりが自分の頭で考え、しっかりと勉強に向き合うことを願っています。
加えて、知力・体力・気力の三つの力を兼ね備える人間になって欲しいと思います。これは、私が大学時代に所属していた野球部で学んで以来、社会人になってから常に実践してきたものです。私自身の成功体験でもありますが、これらを備える人が社会的なポジションを得ていく様をこれまで数多く見てきました。
仮に、学業が優秀であっても、大事な局面で体調を崩す人に、重要な仕事を任せることは難しい。一方、知力と体力を備えていても情熱が欠けているというのでは、相手に訴えかけることはできない。知力・体力・気力の三拍子がすべて揃ってこそ、人間として一人前と言えるのだと思います。
――三つの力を育成するには何が大切だとお考えでしょうか?
目的意識を持って学ぶことで知力を養い、積極的にクラブ活動に参加して体力を身につけて欲しいと思います。
気力に関しては、ひとコマの授業を集中して受ける忍耐力が大切です。実は私の授業では、居眠りをする学生に対して厳しく指導をしています。小・中学校の道徳で教えるような内容だと思われるかもしれませんが、人としての尊厳を傷つけない限りは、大学生であっても、良くないことを放任せずに伝えるべきだと思うのです。
指導方法に王道はないため、この点についても教員一人ひとりが「手づくり」で実践し、学生の特性に応じたキメ細かな指導で気力を醸成しています。
――これからの高等教育機関に求められる役割について、お考えをお聞かせください。
「個性的な人材」を育てることでしょう。かつて日本の高等教育機関に求められたのは、与えられた業務を一律にこなす〝金太郎飴型〞の労働者を大量生産する役割でした。今後の日本社会には、他者と違うアイデアや想い、強みを持つ〝尖った〞人が不可欠です。
いまはまだその過渡期にあり、日本の義務教育に目を向けると「出る杭は打たれる」風潮が依然として残っている印象が否めません。
結果として日本社会が弱くなっているように感じています。そのため、社会に出る前の最後の教育機関として、突出した個性を活かして人の役に立つ人材を世に送り出すことが、大学や大学院の果たすべき役割だと考えます。
――自分の強みを見つける手がかりはどこにありますか。
一つは、たくさん失敗をすることです。成功体験から得られるものは数多くありますが、失敗から学べることはそれ以上に多い。本学にはさまざまなことにチャレンジできる環境が整っているため、果敢に挑戦し、失敗を糧に自分だけの強みを見つけて欲しいと思います。また、インターンシップに参加するなど、実践の場に出向くことも大切です。実際に働く人からアイデアを評価されたり、人の役に立つ実感を得られたりする経験が自信につながります。
本学では今後もこうした機会を充実させ、幅広い能力を備えたジェネラルプレイヤーであると同時に、特定の分野で高い専門性を発揮できるプロフェッショナルの両面を備える人材を育てていきたいと考えています。
――全国の高校生に向けてメッセージをお願いします。
本学が目指しているのは、学生一人ひとりの生き方を変えるような教育です。高校生のみなさんは「将来こんな人になりたい」「こんな仕事に就きたい」という思いをそれぞれ持っていることでしょう。しかし、自分が思い描く将来像と、周囲の大人から見て適性があると考えられることが必ずしも一致するとは限りません。
最終的に進路を決めるのは自分自身ですが、その判断をするためには、さまざまな選択肢を知ることが大切です。本学では、みなさんの多彩な可能性を発掘し、最適な道を見極める段階からていねいに寄り添う教育を行っていますので、ぜひ安心して嘉悦大の門を叩いていただければと思います。
