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「驚き」見つける卒業制作展   東京工芸大学

2008/03/06

東京工芸大学芸術学部(神奈川県厚木市)の卒業制作展が、2月22日から24日の3日間、六本木アカデミーヒルズ40にて行われた。

メディアアーティスト育成を教育理念にする同大の、教育の集大成として展示された作品群は、大学院修了生の作品も含めて400点以上。映像学科やアニメーション学科の映像作品は東京工芸大学の情報館がメイン会場となるものの、それらの一部、また他の学科に関しては全学生の作品が展示された。

 

メディアアートとは通常、コンピュータや先端技術を用いたアートのことで、何らかの「驚き」や「発見」などを体感できるものだという。その通り、同大の制作展は鑑賞者が作品に関わることのできる作品が多く、「楽しい!」の一言。通常の美術展のように、絵画や彫刻を鑑賞するイメージで足を運ぶと、大いに期待を裏切られる。

 

ひときわ目を引くのは、メディアアート表現学科の作品だ。一見ただのホームページに見える作品や、「これがアート?」と思う作品でも、実際にホームページを使ってみたり、作品を動かしてみることで、鑑賞者側のさまざまな行動が喚起される。社会への問題提起、生活スタイルの改善提案、見る人への感動などを引き出す作品群は、デザインのあり方の幅広さを感じさせる作品ばかりだ。

 

全学生の作品が展示されることで、学生のモチベーションがアップすると同時に、社会に出る前のデビュー展示という役割もある。この展示がきっかけで、仕事に結びついた例もあるという。

 

この制作展に、学生、保護者、高校生、ファミリーなど6500人あまりの観客が会場を賑わせ、当日同時開催された「学び」相談会でも、順番待ちの列が絶えない状態だった。

 

取材者推薦【こんな作品ありました!】

 

メディアアート表現学科の学生さんの作品を紹介します。

 

生江さんの「メッセージ折り紙」は、折り紙を折る前に、パソコン上でメッセージを書き込むことができる作品だ。パソコンには、さまざまな形に折られた状態でモニターに表示される。そこに好きな絵やメッセージを書き込んでプリントすれば、開いた状態で印刷される。複雑な折り方であればあるほど、折る前の段階ではメッセージが読めない。折り紙をプレゼントし、折ってみたらメッセージが現れるという、「驚き」がこの作品にはある。

 

宮城さんの「生活美人」は、主婦向けの時間管理ソフトだ。時間管理ソフトというと、ビジネスマン向けのものが多い。しかし、主婦が時間管理を必要ないわけではない。家事や子育て、その他の予定を入れたら、自由な時間などない。「このソフトを使うことで少しでも生活を楽しんでほしいと思って制作しました」と宮城さんは話す。主婦の生活までもデザインした作品だ。

 

福沢さんの「Crowd」という作品は、レシート紙に、プリンタからひたすら情報がプリントされるという作品。レシート紙はメビウスの輪になっており、両面ともに無限に印刷され続ける。最初は真っ白なレシート紙が次第に真っ黒になり、解読不能になっていく。情報過多の時代に疑問を投げかける作品だ。

 

その他、架空店舗のトータルデザインや、日用品や家具の新たなデザイン、また写真やアニメーションも含めて、さまざまな表現手法に目をみはった。

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