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第48回 中京学院大学 髙嶋芳男学長
2009/09/01
ûü嶋芳男(たかしま よしお)
1963年 早稲田大学教育学部卒業
1963年 高嶋鉱業社入社
1968年 同社代表取締役就任
1995年 瑞浪市長(3期歴任)
1997年 学校法人安達学園評議員
1998年 学校法人安達学園理事
2008年 中京学院大学学長 教授
新設・看護学部への期待
中京学院大学に2010年4月、新たに看護学部が開設される。新設の経緯と今後の展望についてûü嶋芳男学長にお話を伺った。
(インタビューは7月29日)
―看護学部新設の経緯について
本学は岐阜県の東濃地区に位置していますが、このエリアでは看護職が大変不足しています。ご承知のように今の医療制度では、大都市の病院に看護師が集中する傾向にあり、地方ではますます人材不足が深刻になっています。
そうした現状の中、多治見市にある県立多治見病院の舟橋啓臣院長より東濃地区唯一の大学である本学に看護職を養成する学部開設の要望がありました。
併せて東濃5市(多治見市、土岐市、瑞浪市、恵那市、中津川市)の各市長からも連名で要望を受けました。
本学関係者で検討を重ねた結果、地域に貢献することが大学の使命であるとの結論に至り、看護学部開設の決定をいたしました。
―地域の要請に応えたいと
繰り返しになりますが、地域が望む人材の育成ということが大事なことだという思いで、看護学部開設に踏み切りました。そのため、この地域の高校生に多く入学いただき、専門職としての知識と技術を身に付け、活躍をしてもらうことが、一番望ましいことだと思っています。本学と地域の保健医療機関を核として、教育と保健医療のサイクルができます。
また東濃地区は、全国的にもそうですが、高齢化が進み、今後は在宅介護をフォローしていく訪問看護ステーションを作っていくことが必要となってきます。地域医療の充実は医療機関と教育機関の連携が不可欠です。
このような看護学部設立の背景と意義を高校生、そして地域の皆様にご理解していただきたいと思います。
実践力のある看護職を養成
―医療系学部で困難な教員と実習先の確保は?
当然、看護学部というのは、実習先の確保ということが一番重要なことです。幸い、東濃五市の、県立多治見病院をはじめ、土岐市立総合病院、東濃厚生病院、市立恵那病院、中津川市民病院が核となってくれていますし、保健・福祉施設も全面的に協力をいただく体制ができています。実習先の確保ということについては、非常に良い環境が整っています。
教員につきましては、看護学部長就任予定者に関西福祉大学看護学部の教授をされていた榎田守子先生が決定しています。とても幅広い視野と豊富な経験をお持ちの方で、お話をしていますと、看護職に対する思いと情熱がひしひしと伝わって来ます。榎田先生には教育面での中心となっていただきます。
―具体的な教育内容は?
榎田先生は、理論だけでなく、知識と技術のバランスがとれた看護職を養成したいと希望されています。
カリキュラムにも1年生の5月から実習を組み込んでおり、他の学校ではあまり例のないことですが、早めに現場の印象をつかむことで実践力を付けることを狙いとしています。
教育内容としては、基本教育と専門基礎科目、専門教育に分かれますが、基本教育では「スポーツ」「芸術鑑賞」「創造表現」などの科目を取り入れ、知識に偏らない人間性豊かな看護職を育成できる内容となっています。また、専門教育では高度な現代医療に対応できる知識と技術を修得し、そのうえ現場にでて柔軟な対応ができる人材育成を目指します。
卒業時は「看護師」だけでなく「保健師」の国家試験受験資格が取得可能ですので、幅広い領域での活躍が期待できます。
―キャンパスの予\定地は?
岐阜県瑞浪市に、系列の中京短期大学がありますが、そちらが、看護学部のキャンパスとなります。経営学部のある中津川キャンパスから名古屋方面に向かう途中に瑞浪キャンパスはあります。瑞浪市は緑の多い静かな町で学習をするにはとても良い環境にあります。しかも名古屋市まで電車で40分、中央自動車道瑞浪ICまで至近という利便性が高いことで、学生にとって非常に恵まれたキャンパスを提供できます。
校舎整備も順調に進んでいます。今年の夏から始めていますが、基本的には短期大学の校舎を改修し、設備を導入していく方法で工事を進めています。完成は12月を予定しています。
―短大との相乗効果は?
中京短期大学には保育科と健康栄養学科の2学科と別科調理専修がありますが、新しく大学の学部ができることにより、キャンパス全体の活性化が期待できます。
教育面でも、健康栄養学科は看護学部と共通する部分もあり、食と健康と医療はすべて関連性がありますし、保育科は人間の健康な成長¥発達¥育児という面で、小児看護学とは直結していますから融合しやすい組み合わせといえるでしょう。
【中見出し】
安達学園としての新たな展開
大学、短大、高校、幼稚園を擁する学校法人として、教育への取組をおこなっていますが、基本的な理念は変わりません。「学術とスポーツの真剣味の殿堂たれ」が建学の精神です。知育・徳育・体育の三位一体の中で人材養成をするのが教育方針です。
1963年に中京高等学校を設立し、1966年に中京短期大学、1967年に中京短期大学付属幼稚園そして1993年に中京学院大学(経営学部)を開学し地域に根ざした教育を行ってきました。そして2010年に看護学部を大学に新設しますが、これも地元に貢献できる人材を養成する基本姿勢の実践です。
―新たな教育への取組は?
看護学部新設以外にも、既存の経営学部において、さまざまな教育への取組が行われています。その一つとして、キャリア教育の取組である「実践的総合キャリア教育の推進」が文部科学省の現代GP(現代的教育ニーズ取組支援プログラム)に選ばれました。これは学生の学習意欲を喚起するためのプログラムです。一般的に、就労意識が低かったり、社会との接点を持つのが不得意な学生が多くなっています。
そこで、社会的な活動に取り組んだ学生に、ポイントを与え、それがある程度貯まったら単位と交換できるシステム「キャリアポイント積立制度」を導入しました。私たちが期待するのは、積極的に社会に参加をして、貢献してもらいたいことです。例えばボランティアでも地元イベントのサポートでも自分と社会の接点をもつことが大切です。
そうした活動を通して、他人とのコミュニケーションをとる力が付き、世代の違う人の考えを知ることになります。結果として自分の存在、役割に気付きます。社会に出て行くための基礎力が養えます。
具体的な社会活動としては中津川市の消防団への協力などが進行しています。教員側も、総合的コミュニケーション能力開発や職業論といった科目を用意して、キャリア教育へのバックアップをしています。
―今後学生たちに何を期待?
本学の学生は、礼儀正しくて、まじめなのですが、私たちの世代からするともう少し積極的に行動してほしいと思います。さまざまな学生支援が必要な時代ですから、キャリア教育プログラム以外にも、学生が成長できる環境を整えていきたいと考えています。現在は経営学部の単科で、男子が多いのですが、看護学部ができることによって、大学の雰囲気も変わっていくと思います。二つのキャンパスの交流も盛んに行い大学と短大を含めて一体感を高めていきたいと思います。
―スポーツが盛んな印象だが
高校も含めた法人全体で部活動が盛んです。本学では軟式野球部やソフトボール部が特に活躍しています。またゴルフ部も今まで4名のプロゴルファーを輩出していますし、レスリング部も全日本選手権に出場しています。大会等で本学の活躍が知られることによっても、地域に元気を与えることができるでしょう。
―高校の先生にメッセージを
今回、地域の要望にお応えするために、看護学部を開設いたします。教育内容や実習先の確保など、高校の先生方に安心して生徒を受験させていただくことができるような環境を整えております。看護職は大変なこともありますが、やりがいと誇りの持てる専門職です。ぜひ、看護職を目指す志の高い生徒に本学を受験していただきたいと考えています。
本学と看護学部の理解をしていただけるように、説明会や相談会を開催していますので、高校生や保護者の皆様だけでなく先生方にも積極的に参加をしてもらえればと思います。