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〔第 72 号〕

2010/11/10

 専門学校が人気を集めている。学生数、新規高卒者の進学率とも6年ぶりに増加に転じたことが今夏、文科省調査で明らかになった。背景には、高い就職率に対する評価と期待があるのだろう▼同様に、大卒の就職率が60・8%であることも伝わった。もうこの問題は避けて通れないということなのだろう。日本学術会議が大学と企業の接続の在り方に、「抜本的な変革が必要」と断じたのである。一方、この逆境でも、近年の大卒新入社員の3年以内の離職率は、35%前後で推移している。あの「リーマン・ショック」以後の入社世代でさえ、すでに11%超が離職しているという▼ある調査では、若手社員の早期離職の原因上位には「採用時のミスマッチ」が挙がる。他方、企業の採用基準では「熱意・意欲」がトップだ。さらに業務における専門知識の活用度は諸外国に比べて極めて低いという▼早期化・長期化する就職活動に翻弄され、曖昧で抽象的な項目が採用選考時に重視された挙句、自分の専門性の評価が低いというのでは、若者は納得できない。第一そんなことで最も損をするのは企業ではないのか。採用慣行の変革を通して、大学と産業界の生まれ変わった姿を見せて欲しい。

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