〔第 73 号〕
2011/01/01
卯年である。だからというわけでもあるまいが、昨年末の証券市場では、株価上昇を予想する声が圧倒的だった。「ウサギは跳ねる」からなのかとの揶揄は横に置いておくとして、その根拠になっているのは、米国の景気回復だと聞く▼たしかに、過去の卯年はいずれも好況だった。前回は平成11年。「ITバブル」なる言葉が使われ始めた年であり、情報テクノロジーの可能性が大いに評価された1年であった▼その前は昭和62年。「バブル景気」の前夜と言えば思い出す向きも少なくないだろう。にわかに市場は賑わった。そして昭和50年は、マイクロソフト社が誕生した。このように時代を眺めると、卯年の景気に多少の希望を持ちたくなるというのが人情だ▼しかし、好事魔多し。平成11年の2000年問題、昭和62年のブラックマンデーを忘れ去ることはできない。昭和50年も完全失業者が100万人を突破した▼寓話「ウサギとカメ」は、油断したウサギがカメに破れる話。自分を過信することなく着実な努力の積み重ねが大切だとするその考えは、教育にも相通じるだろう。社会に漂う閉塞感を教育界から払拭する。そんな「教育景気」の到来を願ってやまない元日である。