トップページ > 「進路新聞」私の進路ストーリー > 第5号(平成22年2月5日発行) 女優 北川 景子さん

前の記事 | 次の記事

第5号(平成22年2月5日発行) 女優 北川 景子さん

2012/06/04

No Pain, No Gain

(痛みなくして得るものなし)

 

女優 北川 景子

 

 昨年3月に大学を卒業し、ドラマや映画、CM出演など、多数のメディアで活躍している北川景子さん。

 どんなに忙しくても授業を欠かさず、学業と仕事を両立させることができたのは、「大学を卒業する」という両親との約束と、学びに対する強い思いがあったから。

 医師を目指し、勉強をしていた高校時代から、将来を嘱望(しょくぼう)される若手女優として、業界をリードする現在に至るまで、どのような進路ストーリーがあったのかー。「素顔」の北川景子さんに迫る。 

 

高校生からモデルに転身、芸能界へ

 幼い頃から「医師になりたい」と思っていて、そのために進学実績がある中高一貫校に入学し、高校では理数コースを選択していました。けれども、思ったように成績が伸びず、2年生の時には、思い悩み始めていました。思春期だったからなのか、心身の成長にバランスが取れず、勉強に集中できなくなっていたんです。偶然街で芸能事務所からスカウトされたのは、そんな時でした。強い興味があったわけではありませんでしたが、「歌やダンスレッスンを楽しむだけでもいいから」という話に、「気分転換になるかもしれない」と両親に相談。ずっと習っていたピアノも習字も受験のために辞めていたので、「逆に息抜きになるなら」と、事務所に所属することを許してくれました。ところが、すぐに雑誌モデルとテレビドラマの仕事が決定。実家の神戸から東京に行かなければならなくなりました。 

 「私にはこの仕事が向いているかもしれない」と、両親に相談したのですが、大反対。最終的には、「大学受験をし、しっかり卒業する」という約束で上京。通信制高校に転校し、仕事をしながら大学探しを始めました。

 

仕事と受験の苦しい両立生活

 学部は、得意な数学を生かしたかったので、経済か商学の二つを考えました。オープンキャンパスにも参加して、「マーケティングや広告の勉強ができる」と聞いていたこともあって、商学部に進路を絞りました。

 理系から文系へ変更をしたので、苦手な地歴公民の勉強も開始。試験はAO型入試はもちろん一般入試も視野に入れていたので、寝る時間も削って勉強に集中していました。仕事の休憩時間で問題集を解いたり、ロケの移動中に睡眠時間を確保して、帰宅後すぐに勉強に取りかかったり…あの頃が一番辛い時期でしたね。両親との約束を果たしたい気持ちと、「女優として活躍したい」という思いがあって、必死でした。

 商学部のAO型入試には、厳しい出願条件があるのですが、持っていた英検が評価されたこともあって、基準を満たすことができました。そして、小論文試験や面接を経て、どうにか合格。第一志望でしたから、合格をもらった時は、幸せ一杯だったことを覚えています。

 

学業も仕事も手を抜かない生活

 大学は、出欠席が厳しい授業もあり、仕事を調整しながら、必ず出席していました。時には撮影の合間に大学に行って、また戻って…ということもありましたね。あまりの忙しさに、「どうにかなりそう」とブログに書いていたくらいです。それでも在学中は、軽音楽部に所属したり、春休みを使って語学留学をしたりと、大学生として充実した時間を過ごすことができました。なにより、この4年間で信頼できる友人や尊敬する先生方と出会えたことが私にとっての一番の財産となりました。大学は私にとって、「HOME」。そんな気持ちにさせてくれる大切な場所でした。

 

進路に悩む高校生へメッセージ

 将来の具体的な目標が見つからなくても、不安にならないで欲しいです。今は分からなくても、その先でやりたいことに巡り合うかもしれません。だから焦る必要はまったくありません。高校生って、大人と子供の中間で、自我をはっきりと持っていますが、経済面では家族に頼らなくてはいけなかったり、世間的には子供扱いされたりして、とても難しい時期だと思います。いろいろなことに悩んで、周りが信じられなくなることもあるでしょう。私もそうでした。でも、時間とともに解決する悩みもありますから、一人で抱え込まない方がいいかもしれません。私はこれまで、学業や仕事で自分の壁にぶつかり、苦しいこともありましたが、終わってみると余裕が生まれていて、今までより成長した自分に気付くんです。

 「No Pain,No Gain」(痛みなくして得るものなし)という言葉がありますが、その通りだと思います。辛い状況でも、「今だけ」と思って、その先にある成長を信じて頑張りましょう。_

 

Profile

兵庫県出身。1986 8 22 日生まれ、23 歳。趣味

は読書、特技は水泳。明治大学商学部卒業。高校在学

中の17 歳の時にファッション雑誌『セブンティーン』(集

英社)のモデルに抜擢される。以後、テレビドラマ、映

画、コマーシャルなど、活躍の幅を多岐に広げる。


[news]

前の記事 | 次の記事