〔第89号〕
2012/12/07
暦の上では冬が始まるとされる「立冬」を過ぎ、晴れ着に身を包む子どもたちの姿を目にする季節になった。「七五三」である▼七五三は子どもの成長を祝い、その加護を祈る行事。昔はいまほどの医療技術はなく、衛生環境も劣っており乳幼児の死亡率が高かった。それゆえ千歳飴には、元気に長生きをという願いが込められている▼成長する子どもは幸運とされ、「七つ前は神のうち」と言われた。7歳未満の子どもはまだこの世に魂が定着しておらず、神がその運命を決めると考えられていたからだ。人々は数々の儀礼を行い、子どもの成長を祈り、あるいは、故意に悪い名前をつけて価値のないものと欺き、病などが奪っていかないようにしたと聞く▼いつの時代でも親が子どもの幸福を願う気持ちは変わらない。近年、新卒者の入社3年以内の離職割合が中卒7割、高卒5割、大卒3割の「七五三」と言われ、若年層の早期離職が問題視されてきたが、この状況が改善されたことが分かった▼新しい数値は、いわば「六四三」。残念ながら大卒は取り残されたままだ。これをいかに向上させていくか。就職情報の解禁が目前のいま、自分を知り、会社を知る機会に意欲的であれと願う。