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〔第92号〕

2013/03/05

人の一生は重き荷を負うて遠き道を行くが如し。急ぐべからず―。かの武将、徳川家康が残したとされる名言である。センター入試が終了し、入試本番を迎えた受験生に送りたい言葉だ▼出陣前、戦国武将は作戦の決定や兵法の判断のほかに「吉凶」を重視していたと聞く。出陣の日取りや出陣式の場所、方角はもちろん、験担ぎの食材も用意していたのだという。打鮑・勝栗・昆布を「討ち勝って喜べる」ように、酒の肴として食したらしい▼徳川家康もその例に漏れない。関が原の戦いで用いた兜は、七福神の大黒様の帽子が由来であると伝わり、さらに目を惹くのが金色に輝くシダの飾り。シダは「勝ち草」として知られている。戦国の覇者にしてそうなのだから、やはり験担ぎは人の世の常なのだろう▼「キットカット(きっと勝つ)」「カール(受験にうカール)」「ハイレモン(大学にハイレルモン)」「カルピス(受験にうカルピス)」。すべて受験がらみで注目されている有名な菓子や飲料だ。一方、センター試験当日、「滑る」という言葉を回避したある駅員が「すってんころりんしやすくなっております」とアナウンスしたことも、インターネットで話題になった▼受験生と戦国武将、目的は違えども同じ「戦い」に臨むもの同士の共通点を見つけ出した次第だ。「サクラサク」の吉報が届くよう願わずにはいられない。

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