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第5回 大学選択の基準と誰が名門校に進学するか

2013/09/13

学歴入門 真実と対応策

第5回 大学選択の基準と誰が名門校に進学するか

            橘木 俊詔


■偏差値で異なる大学選択の基準
 日本では名門大学に入学するには名門高校を卒業したほうが有利である、という通念がある。名門高校に入学するために受験戦争は中学から始まっている。果たして名門大学に入学するのは名門高校卒業者が多いのであろうか。それが事実かどうか統計で確認することが今回の目的である。
 日本の大学を入学時の偏差値の高さを基準に四段階に区分して、それぞれの大学に進学する人が、何を基準にその大学を選択したかを示したのが図1 である。確かに偏差値60 以上の難関大学では、偏差値の高さとその学校の教育や教授の研究の質の高いところに魅力を感じる人が35%に達している。難関校であることや、教育・研究の質の高さはこれらの大学で意味が重いのである。
 偏差値が55 ~ 59 の中堅上位の大学では、それが15%に低下しているが、教育内容が希望する職業に結びついているとするのが25%前後に達していることに注目したい。大学の選択に際しては、就職のことがかなり気になっているのである。次いでこのクラスでは、学費の安さや通学に便利であるという実利も結構重要である。
 偏差値が54 以下の中堅下位校や下位校では、偏差値や教育・研究の比率が低くなり、職に直結することや通学に便利ということがますます高まっている。これらの大学では地元の大学志向ということが重要となっていると予想できる。

■トップ高校卒業者の半数が難関大学進学
 偏差値の高い大学、教育・質の高い大学に進学する人は、どういう高校を卒業しているのであろうか。ある受験情報企業が日本の高校を20 ランクに区分しているが、この資料に基づいて日本の高校を区分けして、どの程度の偏差値の大学に進学しているかを調査した。それが図2 である。トップ高校(上位5 ランク)を卒業した人に関して、高卒で終了する人が23.7%、偏差値50 未満の大学に5.8 %、50 ~54 の大学に6.8 %、55~ 59 の大学に14.7 %、偏差値60 以上の難関大学に49.0%が進学している。半分前後の人が難関校に進学しているので、名門高校から名門大学へ進学、という通念がかなり生きている。しかし名門大学や大学に進学しない人が約半数いる。
 一方で偏差値60 以上の難関大学の入学生が、どのランクの高校から来ているのかを示したのが図3 である。確かにトップ高校からが46.6%で最多であるが、中堅上位校から31.8%、下位校からも18.0%入学しており、たとえトップ高校でなくとも、勉強を頑張れば、難関大学に進学できる道はかなりの程度開かれているのである。
 今回分かったことをまとめれば、名門難関大学に進学するには、ランクの高い名門校に入学すれば確かに有利であることに間違いはないが、そうではない高校に進学していても、そこで勉強を一生懸命やれば名門大学に進学できるのである。

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