トップページ > 学窓 > [第104号]

前の記事 | 次の記事

[第104号]

2014/02/13

2月4日頃は「立春」、つまり春の始まりを指す。古来、こうした季節の変わり目には鬼が生じると考えられており、立春の前日である「節分」において厄落としの行事が行われるようになった▼一般的には「豆まき」や「恵方巻き」などが知られているが、地域によって「福は内、鬼は内」と唱えて良い鬼を家屋に招き入れたり、年越しそばならぬ「節分そば」を食べる風習もあるなど、多様な構えが興味深い。いずれにしても、こうした習俗を通して、人々は一年の無病息災を願ったのである▼なるほど、確かに2月の初めは気温が安定しない印象が強い。震えるような寒さが続く中、時折り気まぐれな陽気に身も心もあたためられることもある。宮崎県赤江のこの2月1日の最高気温は25度と、5月下旬並みの暖かさになったというのだから驚く。寒暖の差によって体調を崩したという声も少なくないいまの季節、体内に悪い「鬼」を招かないよう気をつけたいところだ▼春に鮮やかな彩りを加える桜の芽は、ある程度の低温にさらされることによって開花の準備を始めるのだという。言い換えれば、いまの寒波があってこそ桜はきれいな花をつけるとも言えるだろう。大学入試センター試験が終わり、私立大学の一般入試が本格化する中、一人でも多くの受験生がこの厳しい冬を乗り越えて見事な桜が花開くよう祈りたい。

前の記事 | 次の記事