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[第106号]

2014/04/11

ある調査によると、およそ9割の高校生が携帯電話を使用しているという。電子メールでコミュニケーションを取っていた時代は過ぎ去り、現在はSNSを活用するのが主流になっていると聞く▼いつでもインターネットに接続し、友人と連絡を取り合うことができる 。うらやましい気もするが、しかし同時に「情報化」の弊害も気がかりだ。「返事をしないといけないから、眠る時間もない」などという悲鳴をどう考えたら良いのだろうか▼現代社会において、誰ともつながらずに生活を送ることはほぼ不可能だろうが、反面顔を合わせないコミュニケーションの手段ばかりが進歩している印象も拭えない。就職市場でも、最も求められているのは「コミュニケーション能力」だと言うがコミュニケーションとは一体何なのかと考えさせられてしまった▼大学の授業も、学生とのコミュニケーションを重視する形式が人気を集めている。「双方向型」「参加型」「PBL型」などはあらゆる大学のパンフレットに散見される。ただし、インプットの乏しい人間が優れたアウトプットを行えるとは考えにくい▼新しい季節の到来にいささか高揚感を覚えながら、学生には他者とのコミュニケーションを大切にしつつ、じっくりと識者の話を聞き、書物を読み、そして自分の考えを組み立てていく時間も大切にして欲しいと願う次第だ。

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