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「第112号」

2014/10/11

ブルーベリーヒル、ストロベリークラッシュ、ホワイトマジック。スイーツをイメージしがちだが、全てバラの名前だというから驚きだ。初夏の花として馴染み深いバラだが、秋咲きの品種がいま見ごろを迎えている▼古くから親しまれてきたバラは、世界中で品種改良が行われ、その数は数万にも上るそうだ。名前を聞くだけで、佇まいや色、香りについて不思議と想像力がかき立てられてくる▼名前と言えば、当て字や読みにくい漢字、珍しい読み仮名を使った、俗に言う〝キラキラネーム〞の増加がしばしば話題に上がる。愛する我が子に唯一無二の個性的な名前をつけたいという親心の表れだというが、その心境はおそらく本人にしか分かるまい▼そうした事情は大学界も同じらしい。日本学術会議はこのほど「学士の学位に付記する専攻分野の名称の在り方」について見直しを求める報告書を公表。学士名称が多様化し過ぎて、国際的な通用性が疎外されると危惧していると聞く▼名前が他のどのようなものであろうと、香りの素晴らしさに違いはない――。『ロミオとジュリエット』でシェイクスピアはバラをそう表現した。名づけに気を取られて本質を見失わないでいたいものだ。

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