「第117号」
2015/03/03
3月はライオンのようにやって来て、子羊のように去ってゆく。荒天で始まり、穏やかな陽気で終わる3月を例えたイギリスのことわざだという。東京でも、まさにライオンが顔をのぞかせるような、雨模様でのスタートとなった▼春の天気は「ふる・ふく・どん」が特徴だと聞く。低気圧と高気圧が代わるがわる通過するため大気が不安定になり、「雨が“降る”」「風が“吹く”」「“曇”天になる」を繰り返すのだそうだ。穏やかな季節を迎えるには、目まぐるしい春の嵐を乗り越えなければならないということなのだろう▼就職に挑む若者の背中に、季節の移り変わりを重ねてしまうのはいささか強引だろうか。3月1日、昨年より3カ月遅く、2016年春卒業予定の学生を対象とする会社説明会が解禁となった。説明会には入場制限がかかるほど、就活生が殺到しているらしい。前例のない“短期決戦型”の就職活動に不安の声が後を絶たない。早くも就活の嵐に翻弄されているとすれば気の毒だ▼獅子は兎を狩るのにも全力を尽くす――。まずは一つひとつ全力を投じて、自分らしい就職活動を目指したい。時にはライオンのような勇ましさを持って、3月を駆け抜けよう。
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