トップページ > 学窓 > 「第121・122号」

前の記事 | 次の記事

「第121・122号」

2015/07/15

先日、梅のシロップを作った。爽やかな香りを放つ青梅と砂糖を瓶に詰め、1週間ほど冷蔵庫で熟成させる。7日間をかけてじっくりと梅のエキスが砂糖に溶け出し、淡い琥珀色の液体と共に芳醇な香りへと変化した▼古くから人々に愛されている梅だが、その品種は500 を超えると言われており、入手できるものは地域によって限られているのだという▼この梅を愛した人物として広く知られるのが菅原道真だ。梅干しの種の中身を俗に「天神様」と呼ぶが、一節には道真や彼を祀る天満宮に由来するとされる。歴史に名を残す才能に秀でた道真は、大宰府へと左遷される際に詠んだ歌など、梅にまつわる多くの歌を残している。道真を祀る太宰府天満宮には梅の名所として多くの参拝者が訪れている▼「学問の神様」道真が愛した梅には、「梅の木学問」という言葉がある。成長は早いが大木にはならない梅の木に例え、進み方は早いが大成しない学問を指すのだという。気温の上昇する季節。焦る受験生や就活生も少なくないだろう。戒めではないが、そんな時こそ梅を頬張り、心を静めてみてはいかがだろうか。夏休みが大木へと成長するための熟成期間となることを願いたい。

[news]

前の記事 | 次の記事