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「130号」

2016/04/15

香しい春が訪れ、満開の桜を楽しめると思ったのも束の間、ほどなく桜吹雪となってしまった。いまは早くも青々とした緑が木々に色づこうとしている。傍らには先を急ぐ新社会人の姿があり、今年もめまぐるしく環境が変わる春が訪れたのだと実感した▼ひと括りに桜と言ってもその品種は極めて多彩だが、注意深く観察すると意外にハッキリとした特長が見て取れるのが興味深い。日本で最もポピュラーな桜は「染井吉野」だろう。淡い薄紅色の花びらが一斉に樹木を埋め尽くすさまは圧巻で、その力強さを頼もしくさえ思う▼一方、非常に多くの花弁が幾重にも折り重なる八重桜「白妙」も人気だ。その名が示す通り、白を基調とする花弁の広がりは可憐さや優美さを感じさせ、そこはかとなく神妙な気持ちにさせる。ほかにも「青葉」「金剛桜」「越の彼岸桜」など、その種類は数百にも達する▼翻って、新社会人が身にまとうマニュアル化されたリクルートスーツから得る印象も、ともすれば画一的かもしれない。しかし、これまた桜と同じように一人ひとりが豊かな個性を備えているに違いない。社会生活になじむうちに、彼ら・彼女らが自分らしい花を咲かせることを期待したい。

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