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「132号」

2016/06/23

 ゲリラ豪雨ではないのだろうが、ある日の昼下がり、突然の雨にびしょ濡れになってしまった。真夏を思わせる澄み切ったスカイブルーの空が一転した。雨に打たれながら思い出したのは、例年より3日ほど早い梅雨入り宣言だ。雨の季節到来の予告である▼「雨ニモマケズ 風ニモマケズ」―。没後に発見された宮澤賢治の遺作メモだが、宮澤は「農民を助けたい、会社を救いたい、童話を書きたい、身体さえ丈夫であれば―」。そんな想いから、布団の中で手帳に『雨ニモマケズ』を書き留めたと伝わる▼岩手県花巻市生まれ。議論は分かれると聞くが、生来病弱だったとされた宮澤は37歳という若さで病没した。「病気でなかったら」「丈夫な身体だったら」という気持ちにさせるのもやはり雨のなせるわざなのか▼昨年より2カ月前倒しになった「2017年新卒」の採用選考が6月1日、解禁となった。前例のない就職活動に戸惑いも隠せまい。心配なのは、体調を崩しやすい時期だということ。その分、自己管理が求められるのだろうが、梅雨の就職活動スタートこそ「雨ニモマケズ」でいたい。雨期独特のジメジメとした空気を吹き飛ばすように走り出して欲しいと願う。

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