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215号

2023/05/29

 5月10日は「地質の日」だという。明治9(1876)年 5月10日、ベンジャミン・スミス・ライマンを中心に日本で初めて広域的な地質図「日本蝦夷地質要略之図」が作成されたことに由来し、地層や岩石、土壌などの地質への関心と理解を推進する日として位置づけられている▼今冬に行われた大学入学共通テストにおいて「地学」の受験者数は1659人だった。一方、理科系科目で最多の受験者数となった「化学」は18万2224人で、その差は歴然としている。こうした「地学離れ」の背景に潜んでいるのは、大学受験において理工系大学の多くが試験科目として物理や化学、生物を指定している現実や、地学教員が少ないといった状況なのだろう▼現在、地球規模の課題とされている環境問題や自然災害には地学が大きく関わっている。複数のプレート上に位置する日本も、南海トラフ地震や火山噴火などからはおそらく逃れられない。これら喫緊の課題の解決には関連分野の叡智の結集が不可欠であり、地学を学ぶ若者を増やしていく必要がある。「受験で使わないから」ではなく、私たち一人ひとりが地球について関心を持ち、今後の地学教育の在り方を考える契機としたい。



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