235号
2025/01/15
厳しい寒さが続く中、新しい一年がまたやってきた。地域によっては雪さえ降ることが珍しくはない冷え込みが激しいこの時期を、なぜ「新春」と称して祝うのか疑問に思うことはないだろうか▼春といえば、桜がまず思い浮かぶ人が多いに違いない。昭和26年から気象庁が開始した桜の開花予想は、現在でも春の話題としてしばしば取り上げられる。しかし、平安時代の日本において春を告げる花といえば、桜よりも早く蕾をふくらませる梅であったことは、意外なことにあまり知られていないようだ▼旧暦では、現在の1月から3月までを春と呼ぶ。そのため、ちょうどこの時期にほころびはじめる梅の花は「新春」の象徴だった。現在は“学問の神様”として親しまれる菅原道真が詠んだ「東風吹かばにほひおこせよ梅の花
主なしとて春な忘れそ」という歌からも、春と梅とが強固に結びついていることがうかがえる▼道真が祀られる太宰府天満宮には、いまでも合格祈願のために受験生たちが足繁く通っている。新しい一年と共に、新しい春がやってきた。大学入学者選抜に臨むすべての受験生たちのもとに、美しい花々の咲き誇る春が訪れることを祈っている。
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