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卒業制作で日本のデザインに貢献 三菱ケミカルジュニアデザイナーアワード

2007/11/20

11月14日、「三菱ケミカルジュニアデザイナーアワード2007」の授賞式が行われた。

デザイン系の学生の卒業制作を対象としたこのコンテストは、今年で第7回目を迎え、毎年、デザインの環境に与える役割を意識した作品、見ている人に、驚きや感動を与える作品などが多数応募される。

 

アートではなく、あくまでデザイン。デザインの振興を目的としている同コンテストの審査基準は、独創性・デザイン性・機能性・実現性(経済性)・社会への貢献の5項目。半年間で全国から集まった233作品から大賞に選ばれたのは、東京藝術大学美術学部デザイン科卒業の前田彩さんの作品だ。

「製品として完成しすぎている」と、審査員全員が推したと同時に迷ったという前田さんの作品は、「Rl00」というタイトルで、「〝R〟レッド〝l〟リスト」に載っている絶滅危惧種の野生生物11種をモチーフにしたティッシュボックス。
 ティッシュそのものが再生紙で作られ、ティッシュが減ると、内面にデザインされた森林の模様が見えてくるため、ティッシュを使う際に環境を意識せざるを得ない。また、使用後のティッシュボックスは、印刷された絶滅種のペーパークラフトになっているため、組み立てて楽しむことができる。「作りたいものを作った結果、それが世の中のプラスになるものであってほしい。今回の受賞は、『賞をとりたい』と思いながらやっていたことが最大の要因だと思います」と語る前田さんは、現在大学院生だ。「あわよくば来年も卒業作品で受賞をねらいたい」とのコメントに、会場は笑いに包まれた。

 

 その他、外国人や、箸の使えない日本人向けに、本物そっくりな『アジの開きパズル』(玉川大学卒・増森裕子さん)、「さくさく、しゃきしゃき、がりがり」など、さまざまな擬音語の度合いを、さまざまな用途別にまとめた『擬音擬態・度合い辞典』(武蔵野美術大学卒・伊澤克顕さん・佐藤昌平さん)など、ユニークな作品が目を引いた。

 

 

 

 

 

 

 受賞者たちは、大学院に進学する人、デザイン系企業に就職する人まちまちだったが、それぞれの制作者にとって、また日本のデザインにとって、このコンテストは大きな意味を残したといえる。

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