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持続可能な社会に向けて 多摩美術大学

2007/12/11

 11月28日、多摩美術大学(東京都八王子市)は、「Pacific Rim」プロジェクトの成果発表会を行った。これは、同大と米国のアートセンターカレッジオブデザイン(以下ACCD)の学生たちが、さまざまな社会問題について「デザイナーは何ができるか」を考え、共同研究をする取り組み。


 2006年より始まったこのプロジェクトの、2007年のテーマは「サスティナブル(持続可能)デザイン」〝Light〟の提案だ。
 人間の生活に欠かすことの出来ない「光」。「光」をどうデザインし、またそれを見る人、使う人に対して、環境や持続可能な社会についてどう考えてもらうか。同大から12名、ACCDからは10名の学生が参加し、ともに話し合いや調査を重ねた。


 22名の学生が8つのグループに分かれて発表した作品群は、さまざまな角度から「サスティナブル」を捉えた作品が揃った。


 例えば、人の「思い」に焦点を当てた、「OMOU(想う)」と題されたブランケットと小石型の飾りのセット。

 

 

 

 

 

 

 

 

 小石には、振動をエネルギーとして貯める磁石が内蔵されており、持ち歩くことでエネルギーが貯まる。エネルギーの貯まった小石がブランケットに触れると、ブランケットが淡く光り出す。
 祖父母と孫など、普段なかなか会うことのできない人同士が持ち、再会したときに表れる「光」を「思い出」として保存しようという提案だ。思い出も世代を超えて続いていくことを表している。


 また、「エコシステム」をデザインしたグループもある。日常、自分がどの程度電力などの資源を使用しているかが、携帯電話に配信されてくる仕組みで、そのシステムと連動したストラップやタイピンなどの小物が、使用した資源の量によって異なった色に発光する。ひと目でその人が「サスティナブル」な生活を送っているかどうかがわかるため、友人同士など、お互いに意識して行動するようになるという。

 

 このように、形は違ってもそれぞれのグループが、デザイナーにできることを徹底的に追求した。デザインは、単なる見栄えをよくするためのものではない。こうした作品は、デザインがものを作るだけでなく、人々の行動を規定していることを教えてくれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<左>太陽の光を受けて変化するディスプレイで、人々への関心を呼びかける。

<中>太陽光を集めることのできる折りたたみ式ボード。

<右>太陽光を集めて光る洗濯ばさみ

    

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