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【第64号】

2009/09/01

 ある新聞の記事に、児童養護施設の話が紹介されていた。大学等への進学率は9%と紹介された記事を読んだとき、自分の無知さを痛感した▼物事には表と裏があることは、誰でも理解していること。しかし、なかなか一方しか見ることができない。裏側を見ることは、思ったよりもずっと難しい▼最新の学校基本調査(速報)によると、浪人も含む大学進学率は50・2%。これまでも大学等への進学率は50%を超えていたが、大学のみでは初。2人に1人が大学生となるようになった▼進学率の話と一緒に「大学全入」という言葉が頻出する。「大学進学を希望すれば、誰でも入れる」という意味で使われることが多い。しかし、この言葉は裏側を隠す。2人に1人が大学進学するといっても、もう1人は進学しない。非大学進学率も50%だ▼昨年度の大学新聞一面連載を執筆していただいた矢野眞和・昭和女子大学教授は、経済的な問題で進学したくても、進学できない人がいると、何度も指摘し続けた。大学進学を希望しているのに、断念せざるを得ないのだ。「大学全入」という言葉には、危うさがある▼さまざまな調査やランキングがあるが、その数字を見て一喜一憂しがちだ。しかし、その数字にある裏側にも目を向けなくてはいけない。常々、その難しさを感じる。

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