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〔第 69 号〕

2010/06/01

 衣替えの季節である。だからというわけでもあるまいが、大学がまた一つ、新しい衣を身に纏うことになった▼文部科学省が大きく舵を切り、大学の情報公開を推し進めるという。平成3年の「大綱化」以降、さまざまな「改革」がなされてきたが、その在り方が疑問なものも少なくない。肝心なのは、その実効性だろう。それがうまく機能すれば、薄着になった個別大学から、意外な数値が晒されることもありそうだ▼「公開」を『広辞苑』で調べると、「誰でもが同じに利用できる状態にすること」「公衆に開放すること」とある。大学人や利害関係者だけではなく、受験生や保護者など、広く社会に情報が伝播することを望みたい▼似通った話として思い出されるのが、平成16年に導入された「大学評価」だ。当初、評価を受ける期間の指標として提示された「7年以内」の7年目が今年の平成22年。全大学が一通り「第三者評価」を受けたその翌年の平成23年から「情報公開」が始まるというのも、興味深い▼新しい装いには、梅雨空よりも初夏の澄み切った青空が似つかわしい。社会に対して曇りのない透明性をどこまで担保することができるか。いま、大学の姿勢が問われている。

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