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第2号(平成21年5月20日発行) ダンスパフォーマー TAKAHIROさん

2012/06/04

人生に無駄なことなんて一つとしてない

 

ダンスパフォーマー TAKAHIRO

 

 

多くのスターを生んだニューヨークの劇場「アポロシアター」。世界中から参加者が集まるアマチュアナイトで勝ち抜き、アメリカで有名になった日本人ダンサー、それがTAKAHIROさんです。

 誰にもまねできないダンススタイルで、世界中を舞台に活躍する彼には、一体どのような進路ストーリーが隠されているのかー。

 

 

◆クラスでは目立たず、成績は中の下くらいだった

 僕は、幼稚園から一貫教育を行う男子校の出身で、勉強やスポーツが特別できたわけでもなく、高校時代はクラスで中の下くらいの位置にいる生徒でした。

 部活は演劇部で、部長も務めていましたが、顧問の先生からはあまり期待されていませんでした。歴代の部長たちが主役を演じてきた舞台でも、「君には無理だから」と言われ、主役から外されそうになったり……。

 それでも友人や環境に恵まれ、いつもほのぼのとして、何があっても落ち込むことなく、学校生活を過ごすことができたんです。

 

ダンスに憧れ、規律ある学校で過ごした日々

 ダンスとの出会いは、偶然見た深夜のテレビ番組。そこでヒップホップダンスをかっこよく踊っている姿を見て、「自分も踊ってみたい」と思ったんです。でも、高校は校則が厳しく、勉強も大変だったので、大学で始めようと決めました。

 進学先は、高校で勉強をしていたフランス語が学べる大学を志望。大学には、語学を学ぶこと以外に大きな目標もなく、今思えば「みんなが大学進学をするから」という周りの環境に流されているところがありましたね。

 

ダンス漬けの4年間

 猛勉強の末大学に合格し、早速ダンス部を探しました。ところが、チアリーディング部しかない。途方に暮れていると、体育館の廊下で踊っている集団がいて、思わず声をかけました。小さなダンスサークルでしたが、すぐに入会。それが僕のダンス生活のスタートになりました。

 基本はヒップホップ系の曲で踊るのですが、僕は知っている曲がなく、手元にあった「NHKおかあさんといっしょ」の歌などで踊っていました。

 周りからはそれが新鮮に見えたらしく、都内のクラブイベントに出演するようになり、そこでダンスの基礎ができていったんだと思います。

 

ダンスでアメリカに挑戦

 ダンスにのめり込んだ大学生活でしたが、大学後半になって将来について、真剣に考えなければいけない時期になりました。

 振り返れば、それまで決められたレールの上を歩いてきた僕は、自分について深く考えたことがなかったんです。自分に何ができるのかを考えた時、真っ先に頭に浮かんだのは、自分から始めたダンスのことだけでした。

4年生になって、同級生は就職活動に没頭するようになりました。しかし、僕にはどうしても同じようには考えられなかった。このまま就職して本当に後悔しないのか。考え抜いた結果がアメリカでの挑戦です。もし失敗しても、自分の想いをぶちまけることができるんだったら思い残すことはない、そう思ったんです。

 

右も左も分からないニューヨークで大成功

 卒業後は一年間働いて活動資金を貯めてから出発しました。

 アポロシアターの審査員からは「君のダンスは面白いけれど、ヒップホップの精神が分かっていない。それが理解できたら合格だ」と言われ、その精神を学ぶために黒人が暮らすハーレム地区で生活をするようになりました。

 その結果、最終審査に合格。1000人近いライバルと戦い、テレビ出場権を得て、そこで番組初となる9回連続優勝をすることができました。それから道が大きく広がり、現在はマドンナのツアーダンサーとして活動中です。

 

進路に悩む君へのメッセージ

 高校時代まで、「こんなことが本当に役に立つの?」と思っていたことが、実はすべてに意味があることに気が付きました。人生で無駄な時間や出来事は絶対にありません。だから今やるべきことに打ち込むことは価値があるのだと思います。

 そして将来を思い描いて、少しでも興味を持てることがあったら迷わず挑戦してください。他人が無理だと言っても、自分ができると思うことならできる。そう信じて自分の夢に思い切ってチャレンジしてみてください。

 

Profile

1981 9 4 日生まれ。幼稚園から高校までを男子校で過ごし、玉川大学に進学。今年の夏には、歌手のマドンナのバックダンサーが決定するなど、多方面に活躍の場を広げている。

 

「世界が尊敬する日本人100人」の特集で紹介される。

「ニューズウィークに本番(20071017日発行号)」


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