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15号(平成24年7月10日発行) 女優 忽那 汐里さん

2012/07/10

好きなものを見つける
きっかけづくりをしよう

女優 忽那 汐里

 
「第11回全日本国民的美少女コンテスト」の審査員特別賞受賞をきっかけに芸能界入りした忽那汐里さん。
 江崎グリコの人気商品「ポッキー」のCMではリズミカルに元気よく踊る姿が印象的でしたが、昨年冬に放送された日本テレビの連続ドラマ「家政婦のミタ」では、不器用ながら必死で家族を守ろうとする阿須田家の長女・結を、説得力ある演技で演じたことで話題となりました。
 女優として活躍の場を広げながら私たちにさまざまな顔を見せてくれる忽那汐里さん。その進路ストーリーに迫りました。



 14歳で日本に来るまで、私は生まれ育ったオーストラリアのシドニーで生活をしていました。その頃はまだ、将来自分が何をしたいかハッキリしていませんでしたが、だからと言ってそのことにそれほど焦ってもいませんでした。挑戦したいことはありましたが、どれもぼんやりとしたものでしかなかったんです。


■気軽な気持ちでコンテストに応募
 芸能界に入ったのは、オーストラリアにいた時に父の知人の方が薦めてくれた「全日本国民的美少女コンテスト」への応募がきっかけでした。
 芸能界に対する当時の私のイメージは“輝かしい世界”。もちろん自分とはまったく接点がないと思っていましたし、そんな芸能界でお仕事をされている方は、別世界の人たちだと思っていました。だからコンテストに参加したのも日本での思い出づくりといった感覚でしかなかったんです。もともと、人前でパフォーマンスすることに苦手意識はまったく持っていなかったので、気負わず受けることができました。でもまさか、それが自分の将来につながるとは想像もつかなかったですね。

■日本での高校生活
 コンテストで審査員特別賞をいただいたのをきっかけに、2006年、私が中学2年生の時に日本に来て芸能事務所に所属することとなりました。そして、高校3年間は東京の高校に通いながら芸能界の仕事をさせていただくという生活を送るようになったんです。
 日本についてよく知らないまま来てしまいましたのでカルチャーショックを受けることも多く、中学校はそんな気持ちをうまく消化できないまま卒業してしまったせいか、実は高校生活に対してあまり前向きではなかったんです。
 それに私が通っていた高校は、芸能活動をする人も多くいましたので、指導が厳し過ぎて窮屈だなと感じることがあまりなくて。それが日本の環境に不慣れな私にはかえって居心地が良いものでした。

■思い出深い文化祭のダンス
 周囲から意外に思われることが多いのですが、実は学校の行事などに意欲を持って参加するタイプではないんですよ(笑)。大勢の輪の中では目立たず物静かにしているほうで、オーストラリアにいた頃も積極的に周りを引っ張っていくような場面というのはほとんどありませんでした。
 それが高校時代になると、あるクラスメイトが毎年文化祭でのダンスに誘ってくれて。これには3年間参加し続けて、楽しい思い出を作ることができたんです。

■周囲の支えもあって無事卒業
 高校の先生方は、私がタレントだからといって決して甘やかすことなく、仕事で休んでしまった分は課題を出すなどの対応をしてくれました。特別扱いせず、きちんと卒業できるよう叱咤激励してくれた先生方と学校にはとても感謝しています。私は、周囲の人とのコミュニケーションを大切にしながら仕事に取り組むようにしていますが、高校時代も特にマネジャーとは密に相談しながら仕事を進めていました。こうした多くの人の支えがあって卒業できたのだと思っています。

■広がった将来への道
 高校卒業後の進路として、私は大学進学を選択しました。でも本当は、大学進学は全然視野になかったんです。ですから、高校進学当初は授業にも積極的に取り組めずにいました。それが高校2年に進級した頃から、急に大学進学が身近になって。それからですね、普段の授業に対する姿勢が変わってきたのは。
 その頃にはもう、自分の興味ある勉強のうち、どれを大学で学ぶかという迷いはあっても、進学するかしないかの悩みはなくなっていました。一度決めたことは曲げない性格なので、自分で言うのも変ですけど、私は決断力がすごくあるほうなのだと思います。

■大学の友人から受ける刺激
 大学に入学してからの一年間は驚くほどあっという間に過ぎてしまいました。授業が短期集中的なせいか、仕事でたびたび抜けてしまうと一年間学んだことがとても少なく感じてしまって。まさに成長は自分次第だなと痛感している毎日です。
 それでも1年目は何とか満足いく単位数を取ることができましたし、プライベートはもっぱら大学で過ごすといった感じに、現在は2年生として充実した日々を送っています。
 それに幼い時から、限られた数人の友人と深いつき合いをするタイプの私は、大学でも必要以上に多くの仲間と一緒にいる方ではないのですが、とても気の合う一般の友人が2人いて、彼女たちとの交流がとても良い刺激になっています。

■多くを吸収していきたい
 テレビドラマや映画の仕事では、自分の引き出しの少なさを思い知らされてしまう瞬間があります。実年齢より年上の役もあれば、自分がまったく知らない文化の中で生きているという役柄もあります。幅広い役を自信を持って演じていくためにも、できる限り普段からいろいろなものにふれて、そこから感じ取ったものを自分の力にできるような女優でありたいと思っています。
 今回、映画「グスコーブドリの伝記」では、声優に初挑戦させていただきまして、とても良い経験になったと思います。

■高校生のみなさんへ
 私は、たまたま経験させていただいたお芝居に魅了され、この仕事ができるようになりました。でも本当は、やりたいことって、そう簡単に見つかるものではないと思うんです。でも、やりたいことにつながる「好きなもの」を見つけるのは、自分次第なのかも知れないとはよく思います。だとすれば、好きなものを見つけるきっかけづくりをするといった、自発的な行動がとても大切になるのではないでしょうか。

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