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〔第88号〕

2012/10/14

 季節はいよいよ秋めいてきたようだ。残暑はすっかり鳴りを潜め、時折冷たい平成二十四年寒露風を感じる。この数日では往来にも上着を着込んで足早に歩く姿が多く見受けられるようになった。この時期に路地を歩いていると、どこからともなく甘い香りが漂う。匂いに誘われて振り向いて見やると金木犀だ▼かつて芳香剤と言えば金木犀の香りが定番だった。例えば、現在ほど生活環境・住宅事情がそれほどよくない時代は、お手洗いは汲み取り式がほとんどで、より強い甘い匂いで不快な匂いを覆い隠そうと近くに金木犀を植える家庭が多かった。技術が発展したいまでは、悪臭を抑えた上で柔らかい良い匂いをかぶせることが可能になった▼翻って、金木犀と言えば、昨今は受験や就職活動を連想する人も少なくないだろう。金木犀が香るのは、受験生にとっては最後の追い込みの時期。また、2013年以降エントリーの開始は12月と、2カ月後ろ倒しになるまでは、就職活動のスタートもこの時期だった▼10月1日、ひと足先に就職を決めた先輩たちが内定式に臨んだ。激動の時代に踏み出したその一歩が力強い足跡になることを願う。「入試」「就活」「入社」と、それぞれ目指すゴールや目的は違っても、最高のスタートを切ることができるよう、スポーツの秋らしく入念なウォーミングアップを欠かさないで欲しいと思う次第だ。

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