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第3回 セメスター制・クォーター製の正しい認識

2012/10/15

大学の単位制度を考える

第3回 セメスター制・クォーター製の正しい認識

                    清水 一彦

 
■アメリカにおける3 つのタイプの単位制度
 世界で最初に単位制度を導入したアメリカの大学において、現在少なくとも3 種類の単位制度が存在していることはあまり知られていない。
 単位制度は選択制を前提とし、学習の内容や成果について時間を基礎に数量的に測定するものとして成立したが、この時間の長短が学期制や科目と結びつき、次のような単位制度が実現することとなった。
 一つは「セメスター単位」であり、二つは「クォーター単位」、そして三つは「コース単位」である。
 このうち前二者は学期制と直接結びついた単位制度で、前者はセメスター制の下で、後者はクォーター制の下でそれぞれ採用されたものである。
 最後のコース単位は学期制とは関係なく、単位修得より科目履修にウエイトを置く新しい単位制度としておよそ1960 年代から東部の有名私立大学で多く採用されてきたもので、多くの場合、1学期に週3 ~ 4 時間のクラス授業を1 コース単位で表している。

■セメスター制とクォーター制との違い
 1 セメスター単位は、週1 時間1 学期15 週のクラス授業を表す(2 時間の実験・実習等は1 時間のクラス授業に相当)。アメリカの大学の約3 分の2 は、このセメスター単位を採用して
おり、多くの場合、1 科目は3 セメスター単位となっており、週3 時間の授業が展開される。従って、1 科目のクラス授業量は1 学期で45 時間となる。また、学期ごとに15 セメスター単位の修得が、4 年間の8 学期で合計120 セメスター単位が要求され、卒業のための量的要件となっている。
 これに対して、クォーター単位はクォーター制(サマーセッションを含む4 学期制、わが国の3学期制に相当)の下で運用され、1 クォーター単位は、週1 時間1 学期
 このように、学期制によって単位制度の運用は異なっている。しかし、学生が卒業までに履修しなければならない学修の量は同じように設定されており、いずれの学期制の場合も、わが国の大学設置基準で定められている学修量(124 単位、1単位= 45 時間の学修)
とも変わりはない。二つの学期制において大きく異なる点は履修科目数であるが、それと同時に最も重要な相違点は、1 科目のクラス授業時間数(学修量)である。具体的には、同じ3 単位科目10 週のクラス授業を指している。現在、西部や中部地域を中心に2 割近くの大学で実施されているが、上記と同様に、1科目3 クォーター単位が基本となっており、1 科目のクラス授業量は1 学期で30 時間である。学期ごとに15 クォーター単位、サマーセッションを除く4 年間の12 学期で180 クォーター単位が卒業に必要な単位数となっている。従って、単位数からみれば、クォーター単位はセメスター単位の1.5 倍に相当するものとなっている。
 通常、いずれの学期制においても平均的な学生は1 学期に5 科目ほど履修し(単位数はいずれも15 単位)、そのためセメスター制では1 年間に10 科目、クォーター制では15 科目履修できることになる。

■ 1 科目の学修量は異なる
このように、学期制によって単位制度の運用は異なっている。しかし、学生が卒業までに履修しなければならない学修の量は同じように設定されており、いずれの学期制の場合も、わが国の大学設置基準で定められている学修量(124 単位、1単位= 45 時間の学修)とも変わりはない。二つの学期制において大きく異なる点は履修科目数であるが、それと同時に最
も重要な相違点は、1 科目のクラス授業時間数(学修量)である。具体的には、同じ3 単位科目の場合、セメスター制では45 時間のクラス授業となり、クォーター制では30 時間のクラス授業となる。それぞれ学生に求められる自学自習(予習・復習)の時間は、クラス授業時間の長さに比例するものであるから、当然、学生の学修量は異なったものとなる。
 クォーター制では、より多くの科目が履修できるという利点はあるが、同時にそれは個々の科目の授業時間数や学修量がセメスター制とは異なっていることを意味しているのである。

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