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第88号 元NFLチアリーダー 小島智子氏
2012/10/16
プレーする選手たちを元気に明るい笑顔で応援
するチアリーダー。チアリーディングの本場アメリ
カにおいて、アメリカンフットボールのプロリーグ・
NFLで日本人初のチームキャプテンとして大活
躍した小島智子氏に興味深い話を聞くことができ
た。現役を退き「これからは若い人に夢を与える
仕事を続けていきたい」と語る小島氏の素顔に女
子栄養大学・常任理事の染谷忠彦氏が肉迫する。
自分の運命を変えたアメリカ留学での衝撃
染谷 アメリカで大活躍するご様子を頼もしく拝見しておりましたが、チアリーダーになったそもそものきっかけを教えてもらえますか?
小島 勉強が不得意で、スポーツも好きではなく目標も何もないという、私はそんな高校生でした。でも、化学は少し得意でしたから、その成績で高校からエスカレーター式で進める大学へと進学するのだろうと漠然と考えていました。そんな私がチアに出合うきっかけになったのは、高校2年の夏休みに行ったアメリカ留学です。
留学先で偶然出会ったある中学校の校長先生が元NFLプレーヤーの地元のスターで、せっかく日本から来たのだからと、留学のプログラムにはなかったNFLの試合に私を招待してくれたのです。そこで見たチアリーダーの姿にとても衝撃を受けました。アメフトのルールもまったく分からなかったのですが、迫力ある派手なエンターテインメントの演出の中で輝くチアリーダーに「可愛い!私もやってみたい!!」という純粋な気持ちを持ちました。そこからです
ね、チアリーディングへの挑戦が始まったのは。
染谷 偶然の出合いだったとは驚きました。でもなるほど、始めたいと思った時に一歩踏み出したのが良い結果へとつながったんですね。
小島 チアリーディングを始めるのはいつからが良いのかとよく聞かれますが、始めた
いと思った時が最も良い時期なのだと思います。けれども、いつ始めるにしても遅過
ぎるということはないし、取り返せるものだと私は信じています。
染谷 大学でチアリーディングを始めたくて、通っていた高校の系列ではない外部の大
学を受験されたそうですね。
小島 はい。当時の私の成績では、担任の先生も家族も絶対に合格は無理だと言いまし
たが、なんとしても合格しようと決意しました。それまでは勉強も不得意で、何をやっても長続きしないタイプでしたが、自分が初めてやってみたいと思ったチアに出合って、それまでのように簡単にはあきらめたくないと必死で頑張りました。
高校での学びの実践が夢の実現に役立った!!
染谷 アメリカでの挑戦はとてもご苦労が多かったとか。
小島 異なる文化の国で、それまで自分が持っていたアイデンティティが完全に崩れました。当時私は25歳。企業経験もあって少なからず自信もあった時でしたから、言葉が話せないというだけで3歳児のように扱われたことには、大きなショックを受けました。言葉が分からないから、電話も取れないしかけられない、道に迷うのも恐いので家からも出られない……。夢を
叶えることばかりを追いかけ過ぎて、その後どうしたいのかを具体的に描けていなかったんです。でもこれではいけないと努力を重ねていくうちに存在を認めてもらえるようになりました。チアの活動では試合での応援のほかに、年間300 回もの社会貢献活動を行っています。そういった経験の中で、人とのコミュニケーション力も非常に鍛えられたように思います。
染谷 本当に頑張り屋さんだったんですね。そんなアメリカ時代に得られたことを一つ挙げていただけますか。
小島 いま振り返って思うのは、大学受験の時もアメリカ挑戦の時も、夢を実現させていく過程でとても役立ったのは、実は高校時代の学習だったのではないかということで
す。一見無関係なように思われるかもしれませんが、高校の勉強は決められたカリキュ
ラムに基づいて年間で学ぶことが決まっています。その計画に基づいて学習の予定が決まり、中間試験や期末試験などの定期考査があり、その間にも小テストがあって学習到達度を
知ることができます。そのたびに自分の実力を把握して勉強してテストで試して……というように、現状を把握して計画を立てて実行するという、社会生活の根本を実は高校生活の中で教わっていたんだなと改めて思います。
とにかく、一歩前に!踏み出す勇気を持とう
染谷 最近の若者は海外に出たがらないと指摘されています。小島さんのお考えをお聞
かせください。
小島 どうなんでしょうか。チアでも海外志向がない人たちはいます。日本で極めるというのも素晴らしいですが、本当は海外に出たいと思っているのに、オーディションに落ちたら格好が悪いと躊躇しているのであればもったいないですね。
私が指導している子どもたちの中にも、留学は難しそうだと言う子がいます。でも、どうしてそう思うのかと問うと、その答えはほとんど返ってこないんです。じゃあ一緒に考えてみようと、具体的な費用の話など一つひとつ潰していくと、そんなに難しくないかもと思うようになるみたいです。
人生の中で目標を持って頑張る時期があるのは大切ですし、ぜひ一歩踏み出す勇気を
持って欲しいと思います。
染谷 具体的な夢や目標がまだ分からないという若者はどうすればいいですか?
小島 私も最初は夢もなく落ちこぼれでした。それでも夢中になれるものに出合ってここまで頑張ることができました。夢がないというのであれば、とにかく探してみましょう。探すということこそが前に一歩踏み出すということなのだと思います。
努力というと格好悪いイメージがあるかもしれないですが、夢を叶えた時に見える景色はそれまでとはまったく違っているはずです。達成したからこそ得られる自己実現感や自己肯定感。それをいまの若い人にもぜひ味わってほしいと願っています。そのために私の経験が少しでも役に立てば嬉しいと思い、現役を引退したこれからは、そんな若者に直接会って話をして、チアの技術はもちろん、自分の意見を持つ大切さなどを伝えていくつもりです。
スポーツ選手はもちろん、若い人の夢を叶えるための応援をしていくことが今後の私
の使命だと思っています。
するチアリーダー。チアリーディングの本場アメリ
カにおいて、アメリカンフットボールのプロリーグ・
NFLで日本人初のチームキャプテンとして大活
躍した小島智子氏に興味深い話を聞くことができ
た。現役を退き「これからは若い人に夢を与える
仕事を続けていきたい」と語る小島氏の素顔に女
子栄養大学・常任理事の染谷忠彦氏が肉迫する。
自分の運命を変えたアメリカ留学での衝撃
染谷 アメリカで大活躍するご様子を頼もしく拝見しておりましたが、チアリーダーになったそもそものきっかけを教えてもらえますか?
小島 勉強が不得意で、スポーツも好きではなく目標も何もないという、私はそんな高校生でした。でも、化学は少し得意でしたから、その成績で高校からエスカレーター式で進める大学へと進学するのだろうと漠然と考えていました。そんな私がチアに出合うきっかけになったのは、高校2年の夏休みに行ったアメリカ留学です。
留学先で偶然出会ったある中学校の校長先生が元NFLプレーヤーの地元のスターで、せっかく日本から来たのだからと、留学のプログラムにはなかったNFLの試合に私を招待してくれたのです。そこで見たチアリーダーの姿にとても衝撃を受けました。アメフトのルールもまったく分からなかったのですが、迫力ある派手なエンターテインメントの演出の中で輝くチアリーダーに「可愛い!私もやってみたい!!」という純粋な気持ちを持ちました。そこからです
ね、チアリーディングへの挑戦が始まったのは。
染谷 偶然の出合いだったとは驚きました。でもなるほど、始めたいと思った時に一歩踏み出したのが良い結果へとつながったんですね。
小島 チアリーディングを始めるのはいつからが良いのかとよく聞かれますが、始めた
いと思った時が最も良い時期なのだと思います。けれども、いつ始めるにしても遅過
ぎるということはないし、取り返せるものだと私は信じています。
染谷 大学でチアリーディングを始めたくて、通っていた高校の系列ではない外部の大
学を受験されたそうですね。
小島 はい。当時の私の成績では、担任の先生も家族も絶対に合格は無理だと言いまし
たが、なんとしても合格しようと決意しました。それまでは勉強も不得意で、何をやっても長続きしないタイプでしたが、自分が初めてやってみたいと思ったチアに出合って、それまでのように簡単にはあきらめたくないと必死で頑張りました。
高校での学びの実践が夢の実現に役立った!!
染谷 アメリカでの挑戦はとてもご苦労が多かったとか。
小島 異なる文化の国で、それまで自分が持っていたアイデンティティが完全に崩れました。当時私は25歳。企業経験もあって少なからず自信もあった時でしたから、言葉が話せないというだけで3歳児のように扱われたことには、大きなショックを受けました。言葉が分からないから、電話も取れないしかけられない、道に迷うのも恐いので家からも出られない……。夢を
叶えることばかりを追いかけ過ぎて、その後どうしたいのかを具体的に描けていなかったんです。でもこれではいけないと努力を重ねていくうちに存在を認めてもらえるようになりました。チアの活動では試合での応援のほかに、年間300 回もの社会貢献活動を行っています。そういった経験の中で、人とのコミュニケーション力も非常に鍛えられたように思います。
染谷 本当に頑張り屋さんだったんですね。そんなアメリカ時代に得られたことを一つ挙げていただけますか。
小島 いま振り返って思うのは、大学受験の時もアメリカ挑戦の時も、夢を実現させていく過程でとても役立ったのは、実は高校時代の学習だったのではないかということで
す。一見無関係なように思われるかもしれませんが、高校の勉強は決められたカリキュ
ラムに基づいて年間で学ぶことが決まっています。その計画に基づいて学習の予定が決まり、中間試験や期末試験などの定期考査があり、その間にも小テストがあって学習到達度を
知ることができます。そのたびに自分の実力を把握して勉強してテストで試して……というように、現状を把握して計画を立てて実行するという、社会生活の根本を実は高校生活の中で教わっていたんだなと改めて思います。
とにかく、一歩前に!踏み出す勇気を持とう
染谷 最近の若者は海外に出たがらないと指摘されています。小島さんのお考えをお聞
かせください。
小島 どうなんでしょうか。チアでも海外志向がない人たちはいます。日本で極めるというのも素晴らしいですが、本当は海外に出たいと思っているのに、オーディションに落ちたら格好が悪いと躊躇しているのであればもったいないですね。
私が指導している子どもたちの中にも、留学は難しそうだと言う子がいます。でも、どうしてそう思うのかと問うと、その答えはほとんど返ってこないんです。じゃあ一緒に考えてみようと、具体的な費用の話など一つひとつ潰していくと、そんなに難しくないかもと思うようになるみたいです。
人生の中で目標を持って頑張る時期があるのは大切ですし、ぜひ一歩踏み出す勇気を
持って欲しいと思います。
染谷 具体的な夢や目標がまだ分からないという若者はどうすればいいですか?
小島 私も最初は夢もなく落ちこぼれでした。それでも夢中になれるものに出合ってここまで頑張ることができました。夢がないというのであれば、とにかく探してみましょう。探すということこそが前に一歩踏み出すということなのだと思います。
努力というと格好悪いイメージがあるかもしれないですが、夢を叶えた時に見える景色はそれまでとはまったく違っているはずです。達成したからこそ得られる自己実現感や自己肯定感。それをいまの若い人にもぜひ味わってほしいと願っています。そのために私の経験が少しでも役に立てば嬉しいと思い、現役を引退したこれからは、そんな若者に直接会って話をして、チアの技術はもちろん、自分の意見を持つ大切さなどを伝えていくつもりです。
スポーツ選手はもちろん、若い人の夢を叶えるための応援をしていくことが今後の私
の使命だと思っています。