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〔第82号〕

2012/04/15

 東日本大震災から1年余り。早いのか遅いのか、その受け取り方は人によって平成二十四年清明さまざまであろうが、いまも被災地復興に向けての支援や取り組みが継続されていることを忘れてはならない▼先ごろ行われた「第84回選抜高等学校野球大会」では、出場校32人の主将らによる抽選の結果、「21世紀枠」で参加した石巻工業高校の阿部翔人主将が選手宣誓を務めた。「苦難を乗り越えることができれば、大きな幸せが待っていると信じています。だからこそ日本中に届けましょう。感動、勇気、そして笑顔を」▼堂々とした立派な宣誓に、観客席から大きな拍手が湧いたのは言うまでもない。残念ながら同校は一回戦で敗れはしたが、その力強い言葉の通り、日本中に勇気と感動を与えてくれたことにありがとうと伝えたい▼震災を機に日本人の思いやりや結びつきが深まったとされる一方で、「がれき」の受け入れを拒否する自治体も少なくない。厳しい現実を前に、「絆」が万能の魔法の杖でないことを知った1年でもあった▼新年度を迎えたいまも私たちがなすべきことは山積している。震災2年目こそまた重要な年になるであろう。震災以降の激変とも言える環境の中で、いかにして生徒・学生たちの進路選択、キャリアデザインを描き出していくか。高等学校や大学・短大の先生方、また保護者のみなさまと共に一緒に考えていきたいと思う。

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