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第66回 中国学園大学中国短期大学 松畑熙一 第6代学長

2016/05/16

中国・四国で最も輝く大学へー
中国学園大学中国短期大学 
松畑熙一 第6代学長




 「あたたかい心 ひらめく英知 たえぬく努力」を教育理念に掲げ、「地域に輝き、地域創生を地域の人と共に進める大学・短期大学」を目指す中国学園大学・中国短期大学(岡山市)。2015 年4月には国際教養学部を新設するなど、社会的なニーズに応えるべく教育環境の整備に余念がない。
 同大で力をつけた学生は、就職率は大学で100%、短期大学で99%を達成(15年5月実績)するなど、その確かな教育力に対する評価は高い。そうした源泉は一体どこにあるのか、松畑熙一学長にうかがった。





「楽習力」を醸成すべく 学生主体の学びの場を提供

―貴学の特長や学びの基本姿勢をお聞かせください。 
 2005 年に副学長、翌年に学長に就任し、本学で10年目を今年迎えました。さわやかな笑顔とマナーの向上を徹底しており、すれ違うとはつらつとした挨拶を返すなど、素直で明るい学生が少なくありません。
 キャンパスは、岡山駅から2駅と交通の便が良い立地にあるものの、やや郊外のため落ち着いた雰囲気が漂っています。比較的規模が小さくアットホームな環境で学べるのは、本学の魅力の一つでしょう。
 孔子の「これを知る者はこれを好む者に如かず。これを好む者はこれを楽しむ者に如かず」の言葉に表されているように、学問は本来「おもしろい」「楽しい」ものです。本学では楽しく学ぶ力を「楽習力」と名づけています。知ることはあくまで一つのきっかけに過ぎず、さらに楽しさを追求していく姿勢こそが大切です。
 私は「学生が主体的に学ぶ」ことにこそ意義があると考えており、アクティブラーニングを積極的に導入しています。単なる学習手法のように受け取られがちですが、基本姿勢は「学習者主体の学び」であるということです。
 学生が主体的に学ぶことで、表面的な理解にとどまらない、本当の楽しさが見つかるはずです。「楽しい!」と感じられる学びの体験を提供できるように、教職員一丸となって励んでいます。

―学生主導によるさまざまな課外活動があるとうかがいました。
 学生の自主性、主体性を重んじる伝統は、学習面のみならず、学生生活すべてにおよびます。例えば東日本大震災の翌日、学生自らが申し出て、岡山駅や庭瀬駅、倉敷駅、学内を拠点として募金活動を行うなど、学生自身が発案した学生主体の多様な活動を展開しており、そうした学生の行動をサポートする体制を整えています。
 約10日間の気仙沼でのボランティア活動は、今年9月で9回を数えます。単なる課外活動の域を超えて、正規のカリキュラムとしているのは本学ならではでしょう。地域で愛され地域で輝く大学となるべく、地域貢献のためには何ができるのかを常に考え、実践しています。
 そうした環境で自主性を育んできた学生たちは、自らの力で何かを成し遂げた成功体験を持っていますから、就職活動で自分自身をアピールする力に長けています。全国平均よりも高い就職率を維持している秘訣はそこにあると自負しています。

プレゼンテーション力の強化を 次の一手として展望していく

―今後のビジョンをどのように描いていらっしゃいますか?
 今後さらに力を入れていきたいのは、「プレゼンテーション力の強化」です。大学入試
改革が国を挙げて進められていますが、個別大学においては集団討論しかり小論文しかり、受験生のプレゼンテーション力を重視するようになってきています。
 その受け皿として、高校生対象のプレゼンテーション大会を主催しています。今年度で2回目ですが、初開催となった前回では100 人以上の高校生が参加し、英語でチャレンジする意欲的な姿も見受けられました。
 また、私が会長となり全国に先駆けて「プレゼンテーション教育学会」を今春設立しました。プレゼンテーションに興味があり高校生以上であれば誰でも入会できます。プレゼンテーションのスキルはもちろん、もっと本質的な人に何かを伝えることの意味、さらに根源的な「自分とは何か」といった問いかけにまで目を向け、プレゼンテーション教育の充実と発展を目指し
ていきます。
 これらの取り組みを基盤にしながら「プレゼンテーションといえば中国学園」と言われるよう、活動を展開していきます。

―新学部「国際教養学部」がスタートしました。
 短期大学の英語コミュニケーション学科を発展させ、今春より大学に「国際教養学部」を新設しました。グローバル化が進む時代において、世界とのつながりの中で物事を考えられなければなりません。英語力と国際教養力はすべての人に必要な素養になってきています。
 本学が目指しているのは「地域発」のグローバル人材の育成です。地域の文化や風習、歴史を知り、それを世界に発信できる、地域に根ざした人材こそが真にグローバルに活躍することができるという考えに立っています。具体的には吉備地域の古代文化や歴史を学ぶ「吉備学」を1年次の必修科目としています。ほかにも、地元が生んだ国際人について学ぶ科目を配置するなど、ローカルな視点を磨けるカリキュラム編成です。
 学生のニーズに応えるべく、用意してある科目は158。文系学部であるにも関わらず、ウェブのアプリケーション開発といったITビジネスで活かすことのできる科目もあります。「英語コミュニケーション」「国際文化」「国際ビジネス」の三つのフィールドを設定してはいますが、学ぶ意欲があればそれらの垣根を超えて履修できる柔軟性が魅力です。米国松下電器の社長や会長を歴任してきた岩谷英昭氏を教授に招聘したことでも分かるように、各分野の一流の教授陣から学べるのは学生にとって大きなアドバンテージとなるはずです。
 育成を目指す人材として、①外資系企業等で活躍できる「国際ビジネス人材」②小・中・高等学校の英語教員などの「英語教育人材」③国・地方公共団体等で力を発揮する「国際教養人材」④ IT 関連企業で働く「IT ビジネス人材」⑤通訳・翻訳を担う「英語プロフェッショナル人材」―の五つを掲げています。
 また、1年次前期にフィリピン・セブ島で2週間にわたる「オリエンテーション海外研修」を全員参加で実施しているのは大きな特長だと言えるでしょう。正課であることに加え、正規費用はすべて大学持ちです。早期に海外体験をすることで、自分自身の英語力や人間力の現状を知り、今後4年間の計画や将来へのキャリアデザインを描くことが可能となるでしょう。文献・書物やウェブサイトといった間接的ではなく、実際に五感で海外を感じることに意義が
あると考えています。

―高校の先生方や高校生にメッセージをお願いします。
 本学の理想の在り方は、中国・四国で最も“輝く”大学。最も大切なのは数値ではなく質だと考えています。学生一人ひとりの満足度を上げることこそが我々の責務です。喜ばしいことに、学内調査によると学生満足度は高く、これを維持していきたい。
 そして、地域創生を担う大学であり続けたい。地域に開かれているというのは当たり前です。例えば、本学の図書館では、絵本の読み聞かせやランチタイムのミニコンサートなど、市民のみなさんが笑顔になれるように、地域とつながった催しを開催しています。そして、児童英語教育にも力を入れていることをお伝えしたい。小学校教員などを対象にした児童英語教育講座や、小学校高学年向けの英語文化体験学習「イングリッシュビレッジ」を開催するなど、岡山市と連携を取りながら進めています。
 高校生のみなさんに伝えたいのは、「興味・関心・意欲」が何よりも大切だということ。「こうなりたい!」という志をかなえる環境が本学には整っています。自分探しという言葉がしばしば使われますが、大学は自分を「作る」場所です。大いに志を持って、自分づくり、仲間づくり、ネットワークづくりをしましょう。全力でサポートしますので、ぜひ本学で未来への第一歩を踏み出してください。

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