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【第3号】

2000/09/20

高校生の進路選択は、これまで進学、就職という大きな枠組みの中で理解されていたが、最近はそこに「無業者」が、予想以上に広いことが、最近の調査報告からみえてくる。日本労働研究機構の調査では、四人に一人が「フリーター」指向だという。その数字だけを見ると、大学進学に次ぐ「進路」として「フリーター」があるかのようだ。

「フリーター」指向の背景には、厳しい就職難の問題はあるとはいえ、高校生が社会との接点を見出し得ないという状況がある。非常に狭い世界でしか社会を見ようとしない高校生の姿。それというのも本来の「進路指導」を教育の場で、家庭で怠ってきたということなのだろうか。しかし、そうしたフリーター指向も年齢とともに薄れていくことも確かだ。専門性が求められている現在、フリーターであり続けることは実際には無理だという自覚もある。

では今、そうした状況に対して教育の現場で何ができるのか。何をしなければならないのか。法や制度、高等教育機関の見直しはもちろんだが、中等教育での学校在り方が問われている。高校生にとってごく身近な社会の接点であるべき高校、高等教諭の指導の在り方が、学校が学校として復活することが求められているのではないだろうか。

高校生の多様化、個性化を受け止め、その可能性を本人に自覚させること、社会での活かし方を知らせる指導を中等教育、高等教育機関で行うことが、これから教育に必要だと言うことは間違いない。フリーターがすべからく良くないということででは決してないが、高校生の興味・関心を喚起し、可能性を提示できる進路指導が行われないばかりに、フリーターを指向するというのではあまり寂しい。

今回の文部省の学校基本調査では、短大への進学率が10%を割った。一方で専門学校への進学率は伸びてきている。そして大学、短大卒業後に専門学校に入学する学生数も明らかに増えている。今時の高校生も、実はやりたいことができる場所を探しているに違いない。

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