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【第8号】

2001/04/25

2001年4月、新しい年度がスタートした。世の中では、自民党総裁に小泉氏が選出された。全国の党員による圧倒的な支持により、最大派閥といわれた橋本氏を抑えての勝利。現在の逼塞した状況に風穴を開けたい。変えたいという意思表示のあらわれといわれるが、これからがその真価の問われるところ。

教育では、町村文化相が先頭に立ち、「二十一世紀教育新生プラン」の周知徹底に努め、また、初等・中等教育では、来年からの『完全週五日制』実施、再来年からの高校での『学校指導要領』が適用される等、大きな変化の時を迎えようとしている。

しかし一方で今、その足下が大きく揺るがされようとしている。「ゆとり」をもった「特色ある教育」による「生きる力」の育成をテーマに改訂された新しい『学習指導要領』が、「学力低下」という面から見直しを迫られていることだ。

この「学力低下」は、高等教育機関、産業界からも深刻な問題として提起され、文科省も「最低の基準」といいつつも、明確な反論材料を提示することができず、混乱の度合いは深まるばかりだ。

本当に「学力」は低下しているのか。しかし、この話になると、「では、学力とは何か」という問いかけに対する答えが必要だ。

文科省は、国際教育到達評価学会(IEA)の調査を持ち出し、日本の中学二年生はペーパーテストで三十八か国中四位(理科)、五位(数学)だったという結果を示しているが、一方で大学において高校の授業の補習を行わざるを得ないという状況もある。また、このIEAの調査では、理科や数学が「好き」という割合は日本の中学生は、最低レベルという結果も出ているという。

「大学入試」のあり様は、初等・中等教育での教育内容に影響を与えるといわれるが、「大学へ行きたければ勉強しなさい」という言葉が、児童・生徒に対する強制力として働いていた時代はもう終わりを告げようとしている。「大学全入」時代を迎えつつある今、大学は何をもって社会にその存在意義を提示するのか。

大学の内容の何をもって生徒の「興味・関心」の動機づけをしていくのか、また入試を通してどう大学自身のメッセージを伝えていくのかが今、そしてこれからの時代にこそ問われてくるといえるだろう。

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