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【第11号】

2001/10/25

目に見える変革の波が今、教育機関に押し寄せようとしている。国立大学は、六月に出された「遠山プラン」に押される形で、再編・統合の道を模索し始め、高校においても、新しい学習指導要領施行(『総合的な学習の時間』導入等)の秒読み段階に入った。

また、「トップ30」の指定、さらに、経済産業省による高等教育機関の格付けが行われるなど、高等教育機関を取り巻く環境は文字通り激変する。

国立大学の法人化は、否応なく公立、私立大学等を巻き込み、同じ土俵で学生確保、学校運営に取り込むこととなる。当然のことながら、今以上にその大学の個性、特徴の明確化が求められることになる。まさしく生き残るための自己変革、再構築を早急に行わざるを得ない状況だ。

しかも、その状況を打開する万能薬、特効薬はない。しかし、処方箋はある。それはおそらく建学の精神、理念に立ち返り、「なぜ自らがあるのか」を問うことだろう。そのはじめにあるはずの「何をするための」「どういう人材を育成するための」「どんな研究をするための」大学なのかを再認識し、現在の状況に対して、アプローチをすることによって、その意味を見出しうるのではないか。

その時、さまざまな状況を加味しながら、その方向性を探ることになるが、その中心に置くべきは学生であり、わかりやすさであろう。確かに世界水準の研究レベル、開発・製造技術力は必要だが、高等教育機関全体での高校生の大学、短大への進学率が五割に迫る今、そこで学ぶ学生の将来に対し、『研究』の陰に隠れ、距離をおいていられるはずもない。これからは、より学生に積極的に接触し、自校の方向性を明示することが不可欠だ。「高大連携」「インターンシップ」「就職支援」「導入教育」といった言葉は、おそらく全ての大学にとって重要な課題となるだろう。

そしてまた高校生、高校教諭に対して、「大学にくればこういう道が見えてきますよ」というわかりやすい情報提供を行えるかどうかが、その学校に対する1つの評価になるはずだ。これは決して学生確保のためにおもねる事ではない。なぜなら、3年後には新しい学習指導要領によって学び、高校時代に自らの「ライフプラン」を持った高校生が受験生となるからだ。

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