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【第12号】

2001/12/25

21世紀のスタートとなる平成13年、夢の時代として思い描かれていた21世紀最初の年は、様々な出来事があった1年として記憶されるだろう。

しかし、その多くは悲惨な出来事、21世紀から続く解決できずに残された課題であり、進歩、発展の陰から生まれた負の遺産である。世界は今、その課題に対する、国を越えた真摯な取り組みを始めねばならない。

我が国の教育においてもその『改革』は、国の根幹を成すものとして理解され、審議、検討が進められる中で、実に多くの課題を提出され、様々な試みが行われようとしている。これは、これまでの教育がある意味で限界に達し、問題が噴出していることを意味する。

限界とは、いうまでもなく『偏差値』偏重の教育であり、『教育』は社会全体の問題として、新たな指標を求めている。

小泉内閣発足以降『教育改革』は、その構造改革の中で重要な位置づけを与えられようとしている。国立大学の『法人化』、日本育英会の廃止・転換『トップ30』構想等々、こうした動きは、日本経済のあり方と密接なつながりがある。

そうした中で、平成15年度より高校において新しい学習指導要領が施行され、『総合的な学習の時間』が導入される。これは、知識詰め込み型の学習から体験的な学習重視への転換ともいえるものであり、大きな意味を持つ。

この中等教育における大きな変化は、当然のことながら高等教育機関である大学、短大と無縁ではない。『高大連携』といわれ、中等教育と高等教育の円滑な接続が、時代の求める『教育改革』の大きな柱であり、『大学変革』は、その点を抜きにしてはあり得ないともいえる。

確かに『法人化』『トップ30』構想、そして『教養教育重点大学』の必要性がいわれるに至っては、大学、短大は自らその姿勢を明確にすることを余儀なくされる。

確かに『総合的な学習の時間』の使い方、成果に高校の特徴が表れ、大きなムーブメントとして位置づけられるものであるとすれば、『全入時代』を迎える高等教育機関にとって、導入教育や入試制度改変、カリキュラム編成などを含む広義の『高大連携』への取り組みは、大学、短大の生き残りをかけた試みになるはずである。平成14年、まさに我が国の教育における『激動の時代』の幕が開ける。

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